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祈り三部作 [グルジア]




 テンギズ・アブラゼ監督の作品は『懺悔』(1987)が2009年に公開されているので、ご存知の方も多いかと思う。
自分はこれまで見る機会を逃していて、今回はじめて三部作『祈り』(1967)『希望の樹』(1976)『懺悔』(1984)を立て続けに拝見する機会に恵まれた。こんな映画作家がいたのか、とただただ圧倒されるばかりだ。

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乱世備忘  [香港特区]




『乱世備忘 僕らの雨傘運動』

2014年9月26日、香港の中高校生・大学生を中心に始まった雨傘運動。その動向を心配しながらSNSを注視していた人も多いことだろう。この映画は当時27歳の陳梓桓(チャン・ジーウン)監督がある若者グループとともに活動した雨傘運動の記録である。
                  
話題になった黄之鋒(ジョシュア・ウォン)、周庭(アグネス・チョウ)ら中高生による組織「学民思潮」のリーダーシップにも驚かされるが、旺角(モンコック)に陣取り集まった普通の大学生たちも、それぞれ自分たちの意見とヴィジョンをしっかり持っている様子。物資の調達から後輩たちへの講義まで、手慣れた様子で事を進め、語り合い、助け合っている。どちらかというと学園祭のノリもあるが、長期戦を見込んで力の加減を計算してるかのような印象も受ける。

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戦争と女たち [アジア総合]

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シネマヴェーラで「戦争と女たち」のプログラムより『南十字星は偽らず』('53)と『燃える上海』('54)を観て来た。
戦後、アジアを舞台にした日本映画はけっこうな数作られていて、気づいた時はなるべく観るようにしているんですが、これは見逃してた映画どうしの好カップリングで嬉しい。


『南十字星は偽らず』(1953 新東宝) 田中重雄監督

1942年北ボルネオ。日本語が話せるアイン(高峰)は新しく赴任してきた県知事・矢崎(千田是也)の女中として働くことになるが、いつしか現地妻に…。マレー語の会話が流暢に聞こえる。(とくに殿山泰司)ジェセルトン市の華人反乱なども描かれる。ラストは原作と違うようだ。


『燃える上海』(1954 北星)今泉善珠監督

第一次上海事変前、田中隆吉陸軍中佐の下で国民党軍のスパイ活動を行っていた川島芳子の周辺を描く。村松梢風の原作に忠実だからなのか、吉村の脚本なのかわからないけど、作家村松(山村聰)登場がどうも緊張感を削ぐ。美術・編集は凝っていた気がする。

                    *

その後アップリンクで「幻の日ソ合作映画『大東京』('33)&亀井文夫『小林一茶』('41)特別上映&トーク」へ。アーノルド・ファンク、エイゼンシュタインからジガ・ヴェルトフ、牧野守、セルゲイ・ボンダルチュークまで。縦横無尽のトークが興味深かった。

https://shibuya.uplink.co.jp/event/2018/51167


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ガザの美容室 [アラブ・パレスチナ]





言い方が悪いかもしれないが、女性の体臭でむせてしまいそうな映画だった。
日差しの強い午後であれば、特に夏という季節でなくても、女性客が集まる美容室の室内温度は上がるはずだ。パーマのアイロン、ドライヤーなど使えばさらに。東京ならエアコンがあるので問題ないが、舞台はパレスチナ・ガザである。そんな時に停電が起きる。ガザ地区では送電が制限され停電は日常的なことのようだが、扇風機は止まり、ただでさえ仕事がのろい(?)美容師2人の仕事は滞ってしまう。暑さとイライラは頂点へ…。女性たちの本性が露になっていく会話劇であり室内劇だ。
日が傾いてくると外では銃声が。そして砲撃による大きな振動が。彼女たちは外に逃げだすことも出来ず閉じ込められてしまう。映画館という密室にいる観客も同じような臨場感を味わうはずだ。

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あの頃、この時 [台湾]




『あの頃、この時』[那時.此刻(2014) 楊力州(ヤン・リーチョウ)監督

台湾金馬奨50周年記念作品として制作されたドキュメンタリー。
冒頭、1962年に金馬奨が創設された由来が紹介される。蒋介石の誕生日と金門島を共匪から守った功績を記念し、「金門島の媽祖廟」を冠した名前をつけたという。
關錦鵬(スタンリー・クワン)が結構出てコメントしていた。李安(アン・リー)の『推手』と『ロアン・リンユィ 阮玲玉』が同年受賞(1991年)だったのは意外だった。
陳玉勲、陳易智、張作驥を「不発の世代」(ヒットがない)と自虐的に言っているのに苦笑するが、彼らのいない台湾映画は本当に寂しいものになっただろう。実際、いくつかの作品は傑作だ。
桂綸鎂(グイ・ルンメイ)のファンが最後に映画館で出会うというサプライズも含め、中身も濃いがエンタメも忘れていないドキュメンタリーだった。

「台湾巨匠傑作選」@K’s Cinemaで鑑賞。同時に『藍色夏恋』も再見できたので、感慨深かった。

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『藍色夏恋 the album』

このCD、映画のサウンドトラック以外に既製曲がまじっていて、しかも肝心のエンディング曲が入っておらず、あまりいい印象はなかったんですが、(それぞれ曲自体は好きなんだけど、サントラには入れてほしくないという理由で)今聴くと当時の記憶がよみがえるようで、なかなか良いです。
ベン・ワットやdogdy、club8の曲に加え、日本からは原田郁子、空気公団、台湾からは陳綺貞、1976が参加している。


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電影2018 [中国]

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日中平和友好条約締結40周年記念映画上映会「電影2018」@六本木TOHOシネマズ

上は会場で配られてた小冊子。日中合作の系譜に『未完の対局』('82)の記載があった。これDVDになってないしTV 放映もないですねぇ。一方、明らかに日中合作と思われる田壮壮監督の『呉清源』(06)はこの冊子には記載なし。思い出したけど『呉清源』は『アジア映画の森』(作品社)でも無視されてたぞ。傑作なのになぜだ?!


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巨匠から新鋭まで [東南アジア]

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東京国際映画祭CROSSCUT ASIA「ネクスト!東南アジア」連携企画
『東南アジア、巨匠から新鋭まで』@アテネ・フランセ文化センター

旧作も侮れないし、驚くような発見がある。
インドネシア映画『少女ポニラー』('83)が想像以上の面白さで怪作だった。もしや、これはポンティアナック伝承の現代的・フロイト的解釈だろうか?!
3日間通ったツイッター・メモです。


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2017年度ベストテン [映画ベストテン]

「旅シネ」に寄稿した2017年度の映画ベストテンです。





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彩色天空 [中国]

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ヤン・フードン(楊福東)『彩色天空:新女性 II』@表参道エスパス・ルイ・ヴィトン
2017.10.18(水) 〜 2018.3.11(日) (終了)

蔡楚生監督『新女性』('35)へのオマージュ作品の続編。これは期待通り素晴らしかった。
5面のスクリーンに写しだされるカラフルな官能美に痺れる。「鹿を指して馬となす」という故事の引用も。

関連記事→https://e-train.blog.so-net.ne.jp/2010-05-23


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18th FILMeX [アジア総合]

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第18回東京フイルメックス

特集は『過去から逃れて』のジャック・ターナー、フラハティ『モアナ』、キン・フーのクラシック多め。原一男監督の新作と久しぶりの干広義と王兵の取り合わせも渋いです。でも、なんと言ってもインドネシア女性監督のダブル・グランプリというのが大きなニュースでしょう。一番喜んでるのはガリン・ヌグロホ監督でしょうかね。

個人的ベスト5は、『見えるもの、見えざるもの』『サムイの歌』『天使は白をまとう』『殺人者マルリナ』『ジョニーは行方不明』でした。
以下ツイッター・メモ。

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