キドラット・タヒミック [フィリピン]
『500年の航海』(28thTIFFで『お里帰り』のタイトルで上映された)の公開を記念してのキドラット・タヒミック特集上映。
『悪夢の香り』『虹のアルバム』は既に観た事があるのでそれ以外を中心に観る。
関連記事→https://e-train.blog.so-net.ne.jp/2015-11-03(『お里帰り』)
→https://e-train.blog.so-net.ne.jp/2018-11-03(『それぞれの道のり』)
北(ノルテ)―歴史の終わり [フィリピン]
Norte, hangganan ng kasaysayan (2013), film by Lav Diaz
東京国際映画祭でラヴ・ディアス監督『北(ノルテ)—歴史の終わり』を観た。
ドストエフスキーの『罪と罰』の翻案ということで、またか、という思いだったが(最近なぜかドストエフススキー原作モノが多い)、主人公が狂気に落ち入っていく様が本当に凄まじく、圧倒されてしまった。主人公の変容と、主人公の代わりに冤罪で服役する男の対比、彼の出所を待つ家族の長い時間。それを表現するための4時間10分という長尺にも納得がいく。(他の作品はもっと長いらしいですが・・・)どこかでエドワード・ヤンと比較している文を読んだが、長回し、夜のシーン、その風格など、なるほど『クーリンチェ』を思い出すところも。「マルコス政権誕生とその後のファシズムを描いている」という監督の意外な発言に戸惑うも、フィルディナンド・マルコスがフィリピン大学の法学部生だったこと、殺人容疑で服役していたという事実を知ると、この映画がさらに立体的なものに立ち上がって行きそうだ。以下メモ。
**
イメルダ [フィリピン]
イメルダ夫人 [フィリピン]
『Imelda goes to Singapore』 film by Brian Gothing Tan
Sintokのプログラムで観たブライアン・ゴソン・タン監督の短編の一つ。
この作品は2006年のシンガポール・ビエンナーレに出品されたもので、あのイメルダ・マルコス夫人がメイドとして働く様子をシニカルに描いているようだ。パフ・スリーブがスーパーのプラスチック袋なところが、悲しすぎる。シンガポールにも香港同様に、たくさんのフィリピン人がメイドとして働いていているらしいですが(今回の作品群にも出てきます)、シンガポール人の彼女たちに対する複雑な想いも伝わる、かなり際どい作品だと思いました。
Brian Gothing Tan's blog:
http://www.blurty.com/users/rebel2000ad/
Apo Hiking Society [フィリピン]
70年代に「フィリピノ語」による歌謡曲を作るというムーブメントがあり、それがOPM(Original Philippine Music)という一大ジャンルを生み出した。(ジャンルといっていいのだろうか??)よく誤解してしまうのだが、「フィリピノ語」とはマニラ周辺で使われていたタガログ語を基調にした言葉で、いわば標準語にあたる。実態はほとんどタガログ語なのだろうが、タガログ語といってしまうと、地方の島々で使われているたくさんの母語(方言ではない)の存在と齟齬が生じてしまうのだろう。
とある年表を見ていたら、1973 年に文部省が英語とフィリピノ語を教授用語とすることを承認した、とあった。(フィリピノ語が正式な公用語に制定されたのは1987年)詳しい資料を漁っていないですが、それまでは、地方によってバラバラな言語で学校教育がなされていたということだろうか。また、音楽に関していえば、米国やスペインの影響下にあり、英語の曲やカバー曲が主流を占めていたことは容易に想像がつく。OPMのムーブメントはそんな背景から出て来た。そして逆にOPMがフィリピノ語の全国的な浸透を促したのかもしれない。OPMはフィリピンのナショナリズムと深いつながりがありそうだ。
そのムーブメントの一翼を担ったのが、今年、結成40周年を迎えるというAPO Hiking Societyというヴォーカル・ポップグループだった。結成時は高校生13人のメンバーだったが、その後3人になり、73 年より本格的なプロ活動を始める。メンバーはジム・パルデス、ダニー・ジャヴィエール、ボボイ・ガロビリョ。ジムとダニーの二人でほとんどの楽曲のソング・ライティングをしているようだ。ジム・パルデスは、1986年のアキノ元大統領の無血革命の際の応援歌"Handog ng Pilipino sa Mundo" の作者でもある。(一番下の映像)
*
とある年表を見ていたら、1973 年に文部省が英語とフィリピノ語を教授用語とすることを承認した、とあった。(フィリピノ語が正式な公用語に制定されたのは1987年)詳しい資料を漁っていないですが、それまでは、地方によってバラバラな言語で学校教育がなされていたということだろうか。また、音楽に関していえば、米国やスペインの影響下にあり、英語の曲やカバー曲が主流を占めていたことは容易に想像がつく。OPMのムーブメントはそんな背景から出て来た。そして逆にOPMがフィリピノ語の全国的な浸透を促したのかもしれない。OPMはフィリピンのナショナリズムと深いつながりがありそうだ。
そのムーブメントの一翼を担ったのが、今年、結成40周年を迎えるというAPO Hiking Societyというヴォーカル・ポップグループだった。結成時は高校生13人のメンバーだったが、その後3人になり、73 年より本格的なプロ活動を始める。メンバーはジム・パルデス、ダニー・ジャヴィエール、ボボイ・ガロビリョ。ジムとダニーの二人でほとんどの楽曲のソング・ライティングをしているようだ。ジム・パルデスは、1986年のアキノ元大統領の無血革命の際の応援歌"Handog ng Pilipino sa Mundo" の作者でもある。(一番下の映像)
*
Kami nAPO MUNA ~tribute to Apo Hiking Society(2006) |
カカバカバ・カ・バ? [フィリピン]
『アジア映画の巨匠たち』(6/8〜13@アテネ・フランセ文化センター)で、未見だったものをいくつか見る。
フィリピン映画『カカバカバ・カ・バ?』(1980年、マイク・デ・レオン監督)は、ヤクザとクスリとカセットテープをめぐるドタバタ劇。タイトルのタガログ語の意味は『ドキドキしてる?』という意味らしい。
フィリピン映画『カカバカバ・カ・バ?』(1980年、マイク・デ・レオン監督)は、ヤクザとクスリとカセットテープをめぐるドタバタ劇。タイトルのタガログ語の意味は『ドキドキしてる?』という意味らしい。
←劇中に出てくる日本のヤクザの紋章はこんな感じだった。カセットテープがモチーフとしてデザインされている。 |
Taken by Cars [フィリピン]
Shapeshifter/Taken by Cars (2008)
http://www.myspace.com/takenbycars
http://en.wikipedia.org/wiki/Taken_by_Cars
最近のインディーバンドでは頭一つ飛び抜けてる気がする。
*
そういえば、おなじみApple crumbleさんのブログに、近年盛り上がりをみせるフィリピンのインディーバンドのライブレポがありました。
http://apple-crumble.jugem.jp/
シャシャ・ザトゥーナ [フィリピン]
『Zsa Zsa Zaturnnah Ze Moveeh』(2006)
『フロール事件』(95)、『愛シテ、イマス1941』(04)のジョエル・マラガン監督最新作。
東京国際シネシティフェスティバル2007にて上映。
http://ticf.info/
こちらも観たかったけど、予告編だけでお腹いっぱい。
人気コミックの映画化らしい。