ペルシャ猫を誰も知らない [イラン]
No One Knows About Persian Cats
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Milan Records
- 発売日: 2010/04/13
- メディア: CD
先週から公開が始まりました。
http://persian-neko.com/
インディ・ロックにシンパシーを抱いてる人は必見です。
少女マルジ [イラン]
イラン、エラいことになってます。
たくさんの少女マルジが叫んでいるような気がします。
随分前に読んだのですが、一人の少女がイラン現代史の中でどういう感情を抱いていたか、このマンガを読むとよくわかります。怒りと哀しみに満ちた作品です。ただ、読んだ時は、彼女は特別な階層の人間だ、と思っていましたが・・・。
絵柄は、スミベタと白のバランスがいいです。
アニメ映画の方。
半月 [イラン]
オレンジ色のバスが三叉路に近づくと、「イラン」、「イラク」、「トルコ」、と方向を示した標識が立っている。マルクスブラザーズのハーポとグルーチョが混在したような風体の道化の運転手が大きな声で尋ねる。
「どっちに進めばいいんだ?」
クルド民族の置かれた状況を、さらりと象徴的に描いたシーン。
バフマン・ゴバディ監督の新作『半月』[half moon/niumang](2006)も、まごうかたなき傑作だった。
(@7th 東京フィルメックス)
*
イランに住むクルド音楽の祝祭マエストロで高齢のマモは、何人もの音楽家たちを連れてイラク領内のクルド人居住地でコンサートを開くために、一台のバスを借り切って旅をする。途中、バスから逃げ出す者もいて、それがいかに過酷な旅になろうとしているかを物語っている。
美しい歌声を出す娘を道中で拾い、バスの床下に隠す。(イラン国内では女性歌手の活動が禁止されている。)数あるチェックポイントを超え、とうとうイラク国境で国境警備隊の徹底的な検査にあい、その音楽隊は骨抜きになってしまう。だがマモは諦めなかった....。
*
全編に“死”の香りが漂う。高齢のマモが死を迎えるための葬送曲のような映画とでもいえばいいのだろうか。
インタヴュー記事を読むと、意外なことにゴバディ監督が”死”に対する恐怖を常に持っていることがわかる。それはクルド民族ゆえの先の見えない不安から来るものなのか。
女性歌手が二人出てくるが、いずれも天使、天女のように見える。一人はバスの床下の棺桶のような所で息をひそめ、もう一人は天から降って来たように突然現れ、マモをトルコ側へ脱出させようと指南する。(そこにはなぜか棺桶が用意されているのだが。)彼女の名前はニウムン(半月)という名前で、蝶々という別名をもつ。
詩的な表現とユーモア、活き活きとした登場人物、特徴的なキャラクターづけ。『亀も空を飛ぶ』にも顕著だったゴバディ監督らしさが今回も溢れている。胸を掻きむしられる過酷な結末ではあるが、同時に希望を感じさせるものだった。検閲のために自主的に10の音楽シーンをカットしたそうだが、それでもなお力強さを持っている映画であることにちがいない。
”マモ”というのはクルド語でMy Mozartの意味があるとか。ウィーン・モーツアルト・イヤー・フェスティバルのために 制作された。