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巨匠から新鋭まで [東南アジア]

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東京国際映画祭CROSSCUT ASIA「ネクスト!東南アジア」連携企画
『東南アジア、巨匠から新鋭まで』@アテネ・フランセ文化センター

旧作も侮れないし、驚くような発見がある。
インドネシア映画『少女ポニラー』('83)が想像以上の面白さで怪作だった。もしや、これはポンティアナック伝承の現代的・フロイト的解釈だろうか?!
3日間通ったツイッター・メモです。


『東南アジア傑作短編集』

とりわけ気になったのはファン・ゴック・ラン監督『アナザー・シティ』。接続の仕方が斬新で独特だった。ヨセブ・アンギ・ノエン監督『ラブ・ストーリー・ノット』は娼婦とヒモの3角関係がポップかつ繊細に描かれていて『ソロ、ソリチュード』とは作風を異にしてる感じ。ロヒンギャ難民の少女との束の間の交流を描くカーステン・タン監督『おばあちゃん』は彼女の葛藤が痛いほど伝わってきて秀逸だった。どれも良かったけれど、わりと前衛寄りなプログラムだった。


『サンティとウィーナー』(1954) タウィー・ナ・バンチャーン監督

事故で視力を失ったサンティ少年は父親の足手まといになるまいと洞窟内にあるカオノイ寺の世話になることに。成長して幼なじみのウィーナーと結婚の約束をするが、周囲の妨害に合い…。叙情溢れる映像・音楽が良い。悲恋の物語だが、ラストはとてもタイ仏教的な着地。
ちょっと仏門リクルート映画にも見えなくもないが、盲者が「悟りを開く」という境地が見事に表現されていて感心する。「人間は生まれながらにして、良い業も悪い業ももっている。相手の悪い業をせめてはいけない。」和尚の言葉も印象に残る。ロンドンで発見されたフィルムを修復。

『少女ポニラー』(1983) スラメット・ラハルジョ・ジャロット監督

出産時に母親が死亡。自転車2人乗りで兄が事故死。父親は不幸を招く幼子ポニラーを女中のリンディルと共に追い出してしまう。彼女たちが流れついたのはジョグジャの娼館だった。成長した彼女は周囲の男たちを翻弄し…。もしや、これはポンティアナック伝承の現代的・フロイト的解釈だろうか?
ルイ・マル監督がアメリカで撮った『プリティ・ベビー』(78)あたりの影響もありそうだけど、想像を超える物語の展開に唸った。ポニラーの屈折した愛情表現もどこか魅力的だ。

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スラメット・ラハルジョ監督の『青空が僕の家』('88 公開は95)パンフが出て来た。この映画から『ポニラー』は想像できなかったな。岩波ホールほかで公開した『月と太陽』『チュッ・ニャ・ディン』も何処かで上映お願いしたい。


『フラグメント』(2015) シンガポール

アジアン・フィルム・アーカイヴ設立10周年を記念して作られたオムニバス。
10作はかなりのボリュームだった。ナワポン監督『scene 38』『36のシーン』の続編か?ラヴ・ディアス監督『終わりの前日』はフィリピンの建国の混乱を描いた過去作と呼応していそう。ニアン・カヴィッチ、ファン・ダン・ジーそしてシャーマン・オン、タン・チュイムイのマレーシア勢も良かった。


『どん底』(2007) ブリランテ・メンドーサ監督

『フォスター・チャイルド』と同年作。国政選挙を前に混沌としたマニラ・キアポ地区の人間模様。だましだまされ生きるのさ状態。リクシャーの貸料が払えない青年、入れ歯を排水溝に落としてしまう万引き女、恐喝する少年たち、父を亡くした少年…。手持ちカメラの揺れに酔う。


『マニラ・光る爪』(1975 デジタル・リストア版)リノ・ブロッカ監督

フリオは同郷の恋人リガヤを探しにマニラに出て来たが…。男娼のシーンとラストは良く覚えていたけど、リガヤの顛末はすっかり忘れていた。冒頭のミセリコルディア通りにある華人経営の置屋でテレサ・テン?「夜来香」、トム・ジョーンズ「よくあることさ」などの挿入曲。フィリピンの男娼映画は本当に多いけど、これが嚆矢になるのか?

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