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ラララ♫東南アジア クラシックス [東南アジア]

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東京国際映画祭CROSSCUT ASIA提携企画
ラララ♫東南アジア クラッシック@アテネフランセ文化センター


昨年の東京国際映画祭のアンケートで、アジア映画のクラシックを、とりわけリノ・ブロッカとP.ラムリーを見せて下さい、とリクエストしたんですが、その願いを汲んでくれたようなプログラムでした。見逃していたヌグロホ監督『オペラ・ジャワ』も。

シンポジウムはアジア・フィルム・アーカイヴのカレン・チャンさんのお話、石坂健治さんの「マレーシア映画週間」(1990)の当時の企画や、P.ラムリー作品を借りる際に立ちはだかる邵氏組織、ミャンマーでの「映画探偵」調査の話が印象的だった。70年代のアジア映画はポストプロダクションに日本の現像所を使うことで、かなりのネガが残ったという保存状況の話もあった。




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●『プアンとペーン』(1983}チャード・ソンスィー監督

ある農村。孤児となった少年ローは、娘姉妹のいる家に引き取られ成長する。いつしか彼は姉プアンと恋仲になるが、妹ペーンも彼の事を想っていた…。美しいが移り気な姉、おきゃんな妹のキャラ、二人の確執など巧みな脚本に引き込まれ、結末に茫然。稲刈り歌など多様な音楽も随所に。


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●『少女ルーペ』(1987)リノ・ブロッカ監督

不具の母親を抱え、屑拾いで生計を立てる少女ルーペ。歌のコンテストで優勝するとクラブ歌手となり、注目を浴びていくが、ある夜、何者かにレイプされ…。周囲の男たちがクズばかりで呆れるが、ミステリーサスペンスの要素も。シャロン・クネータの歌声と80’sポップス全開。怪作の類。
キャバレーのボスの愛人ロフィ(ライザミネリを歌ってる方)との壮絶歌合戦が見もの。
https://youtu.be/TR8znTS3iAM

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●『水かけ祭りの雨』(1985) マウンティンウー監督

’57年、マンダレーの祭りで知り合った作曲家のニェン・マウンと良家の娘ター。親の決めた許婚に反発し、駆け落ちを企てるが失敗。わだかまりを抱えながら、それぞれ家庭を持つ。歳月が流れ、自分の子供たちが恋する季節に彼らは再会する。人生のほろ苦さと喜びを親子2代に渡り描く。
息子テッ・トゥエのバンド名にもなってたダジャン・モー(水かけ祭りの雨)とは、雨の降らない暑季にもかかわらず、祭りの時期に降る特別な雨を指すそうで、この雨が降ったあとはバダウ(マレー・カリン)の黄色い花が一斉に咲くとのこと。最後の曲の歌詞の通りだった。


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●『オペラ・ジャワ』(2006) ガリン・ヌグロホ監督

かつて舞踏家だったスティヨ(誠実)とシティ(土)は結婚し、陶器商をしている。同じ舞踏家で肉屋の富豪ルディロ(血)は「踊ることは生きることだ」と言ってシティを誘惑する。伝承され内在化したラーマヤナをベースにジャワの芸能・現代美術を総動員して編まれた圧巻のオペラ。
シティは抑圧されてきた女性像を、ルディロは非ジャワの少数民族を従えており(その母親は全てを操るような存在として描かれる)、スティヨはシティを型にはめる抑圧者として、さらにジャワの正統(お面)ながら貧しい農民層を体現。虐げられた者の血によってジャワの繁栄がある…という内容に見えた。
三角関係のモチーフは、確かヌグロホ監督の『そして月も踊る』('95)にもあって、関連性が気になるところ。マニ・ラトナム『ラーヴァン』('10)もそうだったけど、ラーマ側からの一面的な描き方でなく、シティとルディロ母親の女性像の対比がジャワ的な感じがした。舞踏家の肉体表現と音楽も良かった。
『オペラ・ジャワ』はフィルメックスで見逃してから、実に10年越しに観る事が出来た。(某所で英語版はみたけど)モーツァルト生誕祭のためにオファされた作品で「レクイエム」がテーマだった。アピチャポン『世紀の光』、ゴバディ『半月』、明亮『黒い眼のオペラ』と、このシリーズは傑作揃いだ。


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●『わが義母』(1962) P.ラムリー監督

サックス奏者のカシム(P.ラムリー)は良家の娘サバリアと義母の猛反対にもかかわらず結婚する。しかし生活は困窮し、妊娠したサバリアは里帰りして男児を出産する。義母はカシムに「出産で娘は死んだ」と嘘の電報を送る。カシムはショックのあまり視力を失い流浪するが…。
前半のコメディ路線から、後半のシリアス展開、そして『春琴抄』ばりの驚愕のラスト。しかも冒頭でかかった「Jangan Tinggal Daku」(僕を置いて行かないで)って言う曲は、P.ラムリーのベスト盤の中で一番好きな曲だったのでアガりました。この映画の挿入歌だっのか。



「Jangan Tinggal Daku 」(P. ラムリー)


「Jeritan Batinku 」(P. ラムリー)

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