イサーンvol.3 [タイ]
「爆音映画祭2019 特集タイ イサーンvol.3」@恵比寿TOP
爆音映画蔡タイ・イサーン特集もこれで3回目のようだが、参加するのは今回が初めて。
ルークトゥンの女王と言われたプムプワン・ドゥワンチャンの伝記映画『ザ・ムーン』(2011)が上映されるとのことで、この機会を逃してはなるまいと馳せ参じた。
爆音上映(爆音といっても上質な音にこだわった上映)ということで、音も良かった。
【2019年01月25日(金)】
今日は恵比寿で『爆音映画祭2019 特集タイ イサーンvol.3』のプログラムの中からルークトゥンの女王と言われたプムプワン・ドゥワンチャンの伝記映画『ザ・ムーン』(2011)を観て来た。
●『ザ・ムーン』[พุ่มพวง](2011)バンティット・トーンディー監督
スパンブリーの貧しい農家に生まれ、サトウキビ畑で大好きな歌を歌っていた少女プン(蜜蜂という意)はバンコクに出て歌手を目指す。出会った伴侶と苦労の末にスターダムへ登るが、裏切りと病が彼女を襲う。プムプワンの歌声に魅了され、ルークトゥン業界周辺の人間模様も興味深い。
プムプワン・ドゥワンチャン『ナーンプン・ドゥアン・ハー』(5月の蜂蜜)。
自分が持ってるのはこの1枚だけ。最晩年の91年作。(彼女は30歳の若さで亡くなった)ノリノリではなく全編しっとり歌いあげる感じ。大畑明彦氏によれば、ルーク・クルンのスタイルを蘇生したもの、らしい。 プムプワンの記述は前川健一著『まとわりつくタイの音楽』に詳しい。映画では割と献身的に描かれていたトランペット奏者の夫はかなり酷い奴だとボロクソに書かれている。(彼女の妹に手を出している)彼女は2度結婚していて男運が悪かった、とも。本では彼女の病いが腎臓病とされてるが、映画では全身性エリテマトーデスという病名だった。
【2019年01月27日(日)】
今日も恵比寿で爆音映画祭で『花草女王』(‘77)と『モンラック・メーナム・ムーン』(‘86)+スリン・パークシリ氏トークを。急いで京橋・国立アーカイブに移動して「次世代を拓く日本映画の才能を探して」より福田芽衣監督『チョンティチャ』を観て来た。ディープな内容の1日だった。
●『花草女王』[ราชินีดอกหญ้า](1986)スラシー・パータム監督
解散寸前のモーラム楽団に入団した音大生のノックは、モーラムに洋楽を加味した新しい曲を模索、看板歌手のチャウィーをTV番組で優勝させようとする…。 画質の劣化が惜しまれるが、モーラムの事が実によくわかる名作。ライバルはあの女王歌手と同名で、ルークトゥンとの対抗軸も見える。
●『モンラック・メーナム・ムーン』[มนต์รักแม่น้ำมูล](1977)ポンサック・チャンタルクカー監督
ウボンラチャタニー、ムーン川沿いの村。教育実習生のピンはバンコクにいるドゥアンを想っているが、彼女に婚約者が。一方、歌手を目指すケーンは恋人カムラーと別れバンコクへ。人気歌手が大集合、歌ありタロクありの恋愛群像劇。ラスト煮え切らない感もあるけど。
มนต์รักแม่น้ำมูล sound track →https://youtu.be/uoIGfhoPwi0
スリン・パークシリ氏さんとイサーン音楽の発掘リリースを手がけるSoi48さんのお二人(左隣)
『モンラック・メーナム・ムーン』の音楽を担当されたスリン・パークシリ氏と奥様の貴重なトーク。パークシリ氏が生涯で38作品の映画音楽に携わることになったきっかけや、インド映画『ラブ・イン・トーキョー』挿入歌やソーラン節のタイ語版制作(女の子をナンパする内容だった)、刑務所の看守をしていたこと、ラジオ番組でラオ語以外でのリクエストを受けつけなかったトンガってたDJ時代の話など、面白い話は尽きない。
『ブアラムプー』(‘70)の主題歌「イサーン・ラム・プルーン」(アンカナーン・クンチャイ)のエピソード。モーラムとルークトゥンを混ぜた先駆的作品。冒頭にモーラム、歌の部分はルークトゥン。ピンとケーンは西洋楽器と合わないとのことで、主にモーラム部だけに使った、など、説明してくれた。
旅するタイ・イサーン音楽ディスク・ガイド TRIP TO ISAN
- 作者: Soi48(宇都木景一&高木紳介)
- 出版社/メーカー: DU BOOKS
- 発売日: 2017/04/08
- メディア: 単行本
2019-01-29 15:25
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