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香港之夜 [香港特区]

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『一年遅れの生誕百年・千葉泰樹』@神保町シアターのプログラムの中から
”香港の真珠”といわれた今は亡き女優・尤敏(ユーミン)主演の2本を観た。



『香港の夜』(’61)千葉泰樹監督

スペインからの帰途、香港に寄った通信社の記者・田中(宝田明)が、麗紅(ユーミン)といういう日中混血女性に恋をする。しかし、彼には家族ぐるみでつきあっている恵子(司葉子)という女性がいた。メロドラマの形式だが、日中の女性を対比して、過去の戦争へ遡及していくような仕掛けが今観ても斬新。”ダブル”の仕掛けに近いものがある。
シンメトリーがいくつもあった。たとえば、二人の女は赤いガーネット(友情の意)のイヤリングと白い真珠を交換。草笛光子演じる謝玉蘭は白服から、厦門街の暗黒世界では黒服を着ていた。彼女は、日本人なのか中国人なのかわからない曖昧な存在。なんとなく李香蘭を想わせる。
実は、以前観た時は、ちょっとたるい映画だなあ、と思っていたんだけど、今回はいろいろ発見があって、メロドラマというよりはコンセプチュアルな作品に感じられた。尤敏と司葉子のファッション合戦はやっぱりスゴい。小暮美千代の母親役は『瞼の母』だからなのかと思いきや、こちらが先のようだ。


『ホノルル・東京・香港』(’63) 千葉泰樹監督

香港三部作最終作。宝石商の御曹司が弟(加山)の留学先へ訪れ(『ハワイの若大将』とリンク?)ミス・ハワイに選ばれた女子大生と出会い、東京へエスコートすることから始まる小粋なラブコメディ。尤敏が『猟奇的な彼女』になっていてハマっていた。
しかし、この映画で一番驚いたのは、宝田が我がままに振る舞う尤敏をひっぱたくシーン。『支那の夜』で長谷川が李香蘭を叩くシーンと重なり、一瞬、凍り付いてしまった。『香港の夜』でこの辺を考慮して慎重に作っているように見えたので意外だった。草笛演じる陰のある日系人の話も良かった。

(追記)


『香港の星』(’62)千葉泰樹監督

商社マンの長谷川(宝田)は日本留学中の医学生(尤敏)と恋に落ちる。服飾デザイナーの団令子が触媒になって、すれちがって行く個々の感情を丁寧に描く。バーのママ草笛と団の対決、試験勉強中も旗袍姿の尤敏が素敵だった。札幌・シンガ・KLも贅沢だが、ラスト尻切れ感。
(2014年12月23日(火)に京橋フィルムセンターにて)


『バンコックの夜』(66)千葉泰樹監督

大学の医学研究室に籍を置く修一(加山)は自分の進路を迷っていた。台湾系タイ人の美蘭(張美瑤)と知り合い、出血熱の研究をしようと渡泰を決意。美蘭と恋仲になるが、彼女は親の決める公爵との結婚を余儀なくされる。タイの階級社会を障壁に描く完成度高い逸品。
主演の張美瑤が張曼玉に似ていた。京都・奈良・台北・バンコク・バンセーン・文明の果つる所?で、華語・泰語が飛び交う。『香港の星』ではトルコ風呂に財布を忘れた藤木悠が同僚役で泰語ペラペラの大活躍。幼なじみ役で恋敵の星も良かった。危険ドラッグ運転・出血熱とか不思議と今にリンク。
国際交流基金の上映会で見逃してから10年来の悲願。耶蘇様ありがとう。
(2014年12月25日(木)京橋フィルムセンターにて)


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