SSブログ

アピチャートポン [タイ]



アート界からも映画界からも絶大な賞賛を集めるタイの孤高の映画作家、アピチャートポン・ウィーラセータクン監督の特集上映が国際交流基金の主催で行われる。製作した映画のほとんどが賞を獲得。日本で上映された彼の作品は短編を含めほとんど見ていると思うけれど、その全てが驚きに満ちた作品群だ。今回は長編4本が上映され、監督も来日し、トークショーが予定されている。

オフィシャルサイト:
http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/movie/kantoku10.html


〇『真昼の不思議な物体』(2000)

 長編第一作。撮影クルーはタイ北部の村や町を移動しつつ、地元民に自由に話を作ってもらい、彼らに演じてもらいながら映画を紡いで行く。「足の悪い少年と家庭教師」の話が「不思議な物体」の話へ。ドキュメンタリーとフィクションの境界線を行き来する快作。モノクロの映像が美しい。
(全州国際映画祭グランプリ、山形国際ドキュメンタリー映画祭インターナショナルコンペティション優秀賞・NETPAC賞、東京フィルメックスグランプリ)

〇『ブリスフリー・ユアーズ』(2002)

ミャンマー人の不法就労の青年が工場を解雇され、タイ人の彼女と国境近くの森にピクニックへ行く。不安を抱えながら過ごす憩いの一時を、大胆な性描写とゆったりとした時間軸の中表現した傑作。
(カンヌ映画祭「ある視点」部門グランプリ、東京フィルメックスグランプリ)

〇『トロピカル・マラディ』(2004)

前半パートは兵士の青年が村のウブな青年の心を射止めるまでの話を繊細に描く。後半パートは、一転して、村で牛が次々と殺されて行く事件を調べるために、兵士の青年が森の中を深く分け入っていく物語。そこで彼が見たものは全身入れ墨の入った全裸の男の姿だった。
中島敦の『山月記』の引用で始まるこの映画は、タイの民間伝承も絡めながら、実験的精神とポエジーにあふれている。監督は昨年の東京フィルメックスのティーチ・インで、とても個人的な経験を元に作られストーリーで、前半、後半とともに「狩猟」について描いたものだ、と語っていた。肉欲に目覚めたウブな青年が、主人公の元から離れていってしまう、恋愛の始まりと終わりを描いた作品なのではないかと推測する。
(カンヌ映画祭審査員賞、東京フィルメックスグランプリ)

〇アイアン・プッシーの冒険(2003/video)

フィラデルフィア生まれのタイ人アーティスト、マイケル・シャオワナーサイとのコラボレーション作品。マイケル扮する女装の麗人、アイアン・プッシーが「プレイ・ガール」ばりの活躍をするおバカなウェスタン・ミュージカル。クイア・カルチャーに密接した作品。
(東京国際映画祭出品)

アピチャート監督の所属するKick The Machineのサイト:
http://www.kickthemachine.com/


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:アート

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

浮気雲→西瓜ライナスの毛布 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。