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CROSSCUT ASIA [タイ]

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第27回東京国際映画祭「CROSSCUT ASIA #01 魅惑のタイ」
ツイッターまとめ。


●『メナムの残照』(13)キッティコーン・リアウシリクン監督

海軍少尉・小堀は駐屯地でアンスマリン(日出子)に恋するが、彼女は抗日組織と関係があった・・・。冒頭の導入のアニメーション、アンジェラ・アキ『手紙』のピアノインストがBGMに使われていて、その爽やかさに戸惑う。本筋より主演男優ナデート・クギミヤの直向きな日本人演技に胸うたれる。ラストはちょいホラー入ってたが、橋の上での爆発シーンなど迫力あった。まあ、ツッコミ所はたくさんあるけど、トンチャイ版よりは良いのではないだろうか?改めてこの物語の面白さに気づくことも多く、日本側でリアリティを追求してリメイクしたらどうだろう。


●『タン・ウォン〜願掛けのダンス』(13)コンデート・ジャトゥランラッサミー監督

4人の男子高校生が、それぞれの願いのために願掛けをするが、御礼参りとして伝統舞踊を演じることに。国を二分するデモで内乱状態になったバンコクを背景に、タイの文化・未来を考えさせる。ゆるい笑いから思ってもみなかったシビアな結論に、タイ人の受けている傷の深さを慮る。
監督によると「タン・ウォン」とは踊りの基本姿勢のことで、ファースト・ステップのこと。人が集まるという意味もある。4人の高校生たちは中流上、中流下、労働者階級、貧困層を代表している。「文化省からタイの文化の出て来る映画脚本を書くよう頼まれたのがきっかけで、タイの文化とは何かを考えるようになった。タイ人同士の団結力はよくない。タイに希望はもってません」とはっきり言う監督に驚いた。
コンデート監督の『ミッドナイト、マイラブ』はその年のベスト10に入れたいくらい気に入った作品だったのに、その後観る機会がなかったのが悔やまれる。

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コンデート・ジャトゥランラッサミー監督

●『稲の歌』(14)ウルボン・ラクササド監督

タイ各地の稲作にまつわる歌や行事を集めた記録映像。雨乞いから派生したというロケット祭の花火が日本じゃ絶対許されないようなスゴい代物で驚く。しかし、『稲作ユートピア』のようなストイックに作り込んだ作品を期待しただけに、散漫に感じてしまった。


●『コンクリートの雲』(13)リー・チャータメーティクン監督

‘97年、タイバーツ暴落。父親自殺の報を受け、NYに住んでいたマットは葬儀のためバンコクへ里帰りする。引きこもりがちな弟ニック、元カノのサーイに会い、忘れていた感情を呼び覚ます。当時の流行歌・カラオケ映像が感傷的。(カラオケ映像に弟ニックが役者として映っている)ただ、ファッションなど時代性を知らないとその微妙な差異が伝わらないかもしれない。90年代のタイを知る者は切なく胸に迫るはず。処分しようかと思ってた90年代のタイポップのカセットテープ、やっぱりとっておこう。監督は『ブンミおじさんの森』『ワンダフル・タウン』などの名編集で知られる。確かに、切り返しショットなど、目を見張るものがあった。

●『36のシーン』(12)ナワポン・タムロンラタナリット監督☆

素晴らしい作品だった。映画のロケハン係のサーイと美術係のウムが現場で出会ってからの月日を記憶の断片のような36のシーンで表現する。ウムは後ろ姿で、顔はほとんど映らない。かつて写真機で36枚撮りフィルムを使っていたときの経験がアイデアの基になっている。1枚1枚が時間や場所を異にしたり、成功した写真もあれば、失敗したものがあったり、現像しないまま月日が経っていたり・・・という36枚撮りフィルム写真の特性を、1シーン1カットの映像に置き変えた実験的手法。36の断片の中に、時の移ろいや、相手を想う事が見事に表現されていた。
監督2作目の『マリー・イズ・ハッピー』もこの作品のようにリアリズムで攻めた方が、この監督の持ち味が出たのではないだろうか?


残念ながらニティワット・タラトーン監督『先生の日記』(14)、大御所ノンスィー・ニミプット監督『タイムライン』(14)、オムニバス・ホラー『ラスト・サマー』(13)は見送る。

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