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ジャングルへようこそ [アジア総合]

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スティーヴ・ティロナ『イメルダ・コレクション』(2006)を使ったチラシ。


横浜美術館で「Welcom to the jungle 熱々!東南アジアの現代美術」(2013年4/14 ~ 6/16)を観て来た。シンガポール・アート・ミュージアムの収蔵品だ。

一番のお目当てはザイ・クーニンの『リアウ諸島』(2009)。オラン・ラウトと呼ばれる漂海民の足跡を辿った映像展示で意外とあっさりしたものだった。どうやら上映されたものは全作品のうちの一部らしい。それと呼応するような、イー・イラン『スールー諸島の物語』(2005)は、マレーシア/インドネシア/フィリピンに隣接する地域のアイデンティティに迫った写真コラージュ作品。東南アジアを俯瞰し、辺境から各国の政治や歴史、固有の文化など、ディープな世界が覗ける展示になっていた。

一番印象に残ったのはチャールズ・リムの『すべての川は海へ通じる』(2011)という映像。雨水がシンガポールのロンカンとよばれるモンスーン・ドレイン(排水溝)を通って、海に流れ着く様子を追ったもの。また、アラヤー・ラートチャムルーンスックの『タイメドレー1、2、3』(2002)という作品は、遺体の前で『イナオ』という本を朗読する弔いをテーマとした作品で、身寄りのない遺体に使用許可を得て、病院の霊安室で制作したらしい。チャン・ユンチアの『芭蕉の娘』(2007)は陶器のレンゲに中華風の絵を描いて幾つも並べ物語仕立てにした作品。これも味わいがあった。

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プアン・タイミン『指導者』(2010)

マレーシアのナジブ首相を皮肉っている。
下の中文のところ、「破産」vs「ワワサン2020」と書いてある。

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ナディア・パマダジ『寡黙な部屋』(2009)

ジョグジャカルタのカンプン(村)で家庭生活を始めるとある夫婦の日記を視覚化したもの。ジャワ風の屋根、噂話が広がる拡声器、曇天や不穏を意味するメガ・メンドゥンという瑞雲模様、「doa yaa」(あなたは祈るべきだ)は無責任な慰めの言葉であり高額費用を求める治療師達の発する言葉であるという。

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ティタルビ『バヤン・バヤン・マハ・クチル(小さきものの影)』(2010)

ムスリムの母親が子供たちを守るために唱える祈りがアラビア語でかかれている。
子供の手はそれを拒絶するかのよう。

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ロベルト・フェレオ『バンタイの祭壇』(2007)

1807年に起きた「バシの反乱」がモチーフ。フィリピン先住民が交霊に欠かせないサトウキビ(バシ)酒を規制しようとしたスペイン人に対して蜂起した。19世紀末の民族運動の高まりから独立運動へ至る反乱の一つに数えられる。
この蜂起にはキリスト教会も関与しており、修道士のほか、鼻が削がれたクリストン・パンゴというキリスト像、十字架に張り付けにされたキリストの脇腹を槍で突き刺し、のちに聖人になったロンギヌスの人形がある。そのほか、イフガオ族に伝わる神話に出て来るピンテン、パラワン島に伝わるマヌングルの船人マグアイエンなども。

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ポクロン・アナディン『無名の人』(2005-08)

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PHUNK 『電力都市』(2010)



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