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カカバカバ・カ・バ? [フィリピン]

『アジア映画の巨匠たち』(6/8〜13@アテネ・フランセ文化センター)で、未見だったものをいくつか見る。

フィリピン映画『カカバカバ・カ・バ?』(1980年、マイク・デ・レオン監督)は、ヤクザとクスリとカセットテープをめぐるドタバタ劇。タイトルのタガログ語の意味は『ドキドキしてる?』という意味らしい。

kakabakaba.png ←劇中に出てくる日本のヤクザの紋章はこんな感じだった。カセットテープがモチーフとしてデザインされている。


日本のヤクザ・オノタは、カセットテープにしみ込ませたアヘンをフィリピン国内に持ち込もうと企む。マニラ便の飛行機の中で、フィリピン人青年ジャニーの着ているジャケットのポケットにそれを忍び込ませる。無事、密輸に成功したはいいが、逆にそのテープを取り戻すのに手こずってしまう。そんなこととはつゆ知らず、ジャニーは機内で知り合いになったフライトアテンダントのメラニーにアプローチし、恋を成就させつつあった。オノタは青年の恋人メラニーを誘拐して、カセットテープを引き換えに要求するが、またしても彼女に逃げられてしまう。そこに同じくフィリピン進出を企む中国人ギャング、マダム・リリーの組織も加わり、事態は混乱極まる。ジャニーたちはなんとかメラニーを取り戻し、バギオの修道院に日本人ヤクザのアジトがあることを突き止める。そして修道士に成り済まし、潜入捜査を開始する。隠し扉のその奥には、日本の技術で作られたアヘン工場があった・・・。



チープで空回り気味のコメディのノリはMr.Booあたりの影響だろうか?故・広川太一郎の吹き替えだったら、もっと楽しめたかもしれないと思った。だが、時代の雰囲気がよく伝わってくる興味深い映画だった。メイド・イン・ジャパンの電化製品が世界を席巻し、その工場が次々と東南アジアに移転した時期と、時代背景が重なりそうだ。どうでもいいことだけど、カセットテープにはノーマルより高音質のクロームテープという種類があったのを思い出した。冒頭でビートルズの 『Lucy in the Sky with Diamond』が流れたり、中盤ではカセットテープにしみ込ませてあるアヘンを味わうシーンがあって、青と赤のサイケデリックな映像も出て来る。その辺はヒッピーカルチャーの名残りを感じさせた。

映画の中で特に気に入ったのはオリジナルのサウンドトラックだった。冒頭の方で主人公がバンド演奏で歌う曲や、クラマックスのミュージカルシーンには魅了された。もしかして、有名作曲家ライアン・カヤビャブあたりが音楽にかかわってるのかな?と思ってクレジットを見てみると、Jim Pardesという文字。はて?見覚えがあるぞ。もしやこの人は・・・

古本で購入しておいた石坂健治さん責任編集の「フィリピン映画祭」のパンフレット(1991)を紐解くと、Jim Pardesとは、フィリピンの国民的グループApo Hiking society のジム・パルデスのことだった。おまけに、メンバー3人が映画に出演していると書いてある。写真を確認してみると、なるほどその通りだった。失笑モノの日本語を披露していたオノタ役はボボイ・ガロヴィリョ。ドラッグを指南するサンタ・クルサン役にダニー・ジャビエール。音楽を担当したジム・パルデスもクライマックスの指揮者役として出演しているのだった。
(APO Hiking society の項へ続く)

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