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2006年度映画ベストテン [映画ベストテン]

「旅シネ」に寄稿した2006年度映画ベストテンです。




1 rain dogs/太陽雨(ホー・ユーハン監督/マレーシア)
 兄を亡くした少年の魂の彷徨。美しい画面の隅々にブルースが流れている。ぜひ劇場公開してもらいたい。東京国際映画祭にて。

2 カポーティ(ベネット・ミラー監督/アメリカ)
 主演のフィリップ・シーモア・ホフマンの演技はやりすぎのような気もするが、精緻に抑制された演出が研ぎ澄まされたナイフのように鋭い。

3 うつせみ(キム・キドク監督/韓国)
 気配を消して、愛し合う。相変わらずスゴイこと考える。

4 メルキアデス・エストラーダ三度目の埋葬(トミー・リー・ジョーンズ監督/アメリカ=メキシコ)
 国境警備隊員が犯した罪と償い。死体と共に鎮魂の旅に出る。『ガルシアの首』『デッド・マン』なんかを思わせる。

5 夜よ、こんにちは(マルコ・ベロッキオ監督/イタリア)
 ヨーロッパ映画の伝統と風格。

6 悪魔とダニエルジョンストン(ジェフ・フォイヤージーグ監督/アメリカ)
 シンガー・ソングライターの個性に圧倒されるドキュメンタリー。創作と狂気。ポップカルチャーって何だ?いろいろ身につまされる。♪キャスパー!フレンディ・ゴースト♪と軽く口ずさんでみる。

7 永遠の夏/盛夏光年(レスト・チェン監督/台湾)
 『藍色夏恋』には及ばないが、かなり力のある青春映画。親友、同性愛、三角関係というイカニモ的な設定にリアルな説得力。東京国際映画祭にて。

8 世紀の光(アピチャートポン・ウィーラセータクン監督/タイ)
 モーツアルトの『魔笛』を取り上げたという作品だが、相変わらず謎が多い。小さな診療所での医者と患者の対話という図式が、大病院でも「変奏」される。キューブリックの『シャイニング』なんかも彷彿とさせた。ラストの選曲はよく知っている曲なだけに、ちょっと興ざめ。東京フィルメックスにて。

9 顔のないものたち(キム・ヒョンムク/韓国)
 これを挙げていいものか。ゲイ、スカトロ、援助交際。監督の経験と冒険から生まれた衝撃作。画面から何度も顔を背けてしまう。リリー・フランキーの『おでんくん』流にいえば、「なんでも知ってるつもりでも、ほんとは知らないことが、たくさんあるんだよ」。韓国インディペンデント映画2006にて。

10 ココシリ(ルー・チュアン監督/中国)
 追跡している窃盗団はもとより、チベットの自然環境の方がさらに危険という設定が新鮮。そういえば、チベット滞在中、走ると息切れするのを思い出した。抑制された演出、乾いた雰囲気がいい。史実に基づいた作品。中国の内政としてのチベットについても色々勘ぐってしまう。

 ロードショウ公開した作品で特筆したいのはツァイ・ミンリャン監督の『楽日』『西瓜』なのだが、すでに過去年のベスト10に挙げているので除外。後悔はベルイマンの『サラバンド』を見逃したこと。イーストウッドの話題作も未見。そのほか印象的な作品に『ディア・ピョンヤン』『アンコールの人々』『鳥屋』『キングス&クイーン』など。「リノ・ブロッカの子供たち」が撮ったような『クブラドール』『マキシモは花ざかり』のフィリピン映画の存在感も忘れがたい。

2007年度映画ベストテン
2005年度映画ベストテン


 
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