バカラック讃 [アジア総合]
ロシアのプーチン大統領に似ていると密かに噂されるダニエル・クレイグ主演の映画『007カジノ・ロワイヤル』が公開中。ジェームス・ボンドの誕生秘話が語られるらしい。
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1967年に制作された『カジノ・ロワイヤル』はイアン・フレミングの原作映画化権をコロムビア・ピクチャーズが有していたため、MGMの007シリーズとは一線を画したコメディタッチの作品になった。(というよりは、スパイ映画のパロディ。ジョン・ヒューストンを始め、たくさんの監督が関わっており混乱を極めた。MGMへの嫌がらせか?)ソニーがコロムビア・ピクチャーズを買収し、さらにMGMを買収したため、2000年代に入って晴れて原作に近い形での『カジノ・ロワイヤル』が作られることになったわけである。
前書きが長くなってしまったが、要は何の話かというと、オールド世代にとって『カジノ・ロワイヤル』と言えば、カルトムービーであり、バート・バカラックの音楽なのである。
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韓国のバンドLinus' Blanketのヴォーカリスト、ヨンジンによるバカラックのカバー集。Bell & SebastianやTeenage fan club のメンバーが参加し、BMX BandetsのDougras T.Stewart, PearfishersのDavid Scottがプロデュース。グラスゴー人脈参加の超豪華版。口笛が小粋にフィーチャーされていたり、元The VaselinesのEugene Kellyとのデユエット曲「I 'll neve Fallin' Love Again」は秀逸。
"Amar Love" Amar (1994) BMG victor |
"Mein Aur tu" Amar (1994) BMG, Multitone Records |
90年代初頭のワールドミュージックの文脈でUKアジアンから世界に発信されたバングラ・ビート。ライナーノーツによれば、「バングラ」とはインド北西部〜パキスタンにまたがるパンジャブ地方で生まれた伝統的なダンスミュージックで、移民とともにイギリスに渡り、ディスコミュージックやヒップホップと結びついたものが「バングラ・ビート」なのだそうだ。そんなバングラ・ビート系のスター歌手を父にもつ歌姫少女、アマーことAmareet Dhanjanは当時若干15歳の高校生だった。(現在28くらいか?)。
シタールとタブラが絶妙にフィーチャーされたバカラック曲「Make it easy yourself」 は、ここ日本でも強烈なインパクトを残した。 下のアルバムにはそのヒンディー語バージョン「Tu Gaya Pardes」を収録。
日本在住の二胡奏者ウェイウェイ・ウーのカバー集。
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- アーティスト: オムニバス, ウェンディ・カルロス, ロイ・メリウェザー・トリオ, パーシー・フェイス, アンドレ・コステラネッツ, レイ・コニフ・シンガーズ, メル・トーメ
- 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
- 発売日: 1994/11/02
- メディア: CD
ピチカートVの小西康陽が主催するレディメイドからリリースされたバカラック曲のコンピレーション。現FPM、当時サウンド・インポッシブルの田中知之も選曲に参加している。下の定番A&Mのコンピレーションとは一線を画した渋い選曲。個人的にはバッキンガムスの「Are You There」あたりが好み。バカラック本人の声も入っている。
A&M バート・バカラック・ソングブック -A&M Songs Of Burt Bacharach-
- アーティスト: オムニバス, バート・バカラック, セルジオ・メンデス, ブラジル’66, ピート・ジョリー, ボサ・リオ, リタ・クーリッジ
- 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
- 発売日: 1995/06/25
- メディア: CD
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ほかにもアジアのアーティストによるバカラック・カバーがあったような気がするが、思い出せない。
知っている方がいれば、ぜひ教えてください。
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