Rain dogs/太陽雨 [マレーシア]
Yasmin Ahmad(left), Ho Yuhang (center), Pete Teo(right)
at TIFF, 27 Oct 2006
東京国際映画祭では7本ほどアジアの映画を観た。
その中で最も印象的だったのは、ホー・ユーハン監督の『Rain dogs』(中国語タイトル:太陽雨)というマレーシア映画だった。
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家を出たまま戻らない兄を探しに大都会クアラルンプールに出て来た少年。再会した兄と、家族3人で一緒に住む約束をしたが、兄は賭博のトラブルに巻き込まれ、あっけなく殺されてしまう。実家に戻ったものの、母親には年下の恋人ができていて、関係がぎくしゃくする。少年は家を飛び出し、やむなく叔父の家に居候する。
兄の死を描いた前半パートが終わったあと(40分ころ)ようやく映画のタイトルが出る。後半パートは叔父の家で過ごす日々。流れる風景の中、聞こえてくるのはオデッタの歌うブルース、『sometimes I feel like a motherless child』。
画面の構図や美しい風景、時間の流れは『恋々風塵』〜『悲情城市』あたりの侯孝賢映画を思わせる。淡々とした映像からにじみ出る悲しみと、ぼんやりと浮かび上がってくる家族の絆。映画の隅々に”ブルース”が宿っている感じだ。特に少年と少しだらしない母親とのやりとりが自然でイジらしい。主人公は広東語を話したかと思えば、相手によって北京語で話たりと、(たぶん福建語もあったのかもしれないが僕にはわからなかった)マレーシア華人の多様性もリアルだった。
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俳優のアンディ・ラウの主催するFocus First Cutの支援を受け制作された。監督はアイオワ州立大で工学を学んだ後、エンジニアとして働くが、映画を志し、これまで『サンクチュアリ』『ミン』の短編で高い評価をうけている35歳。
写真はホー監督と映画に叔母役として出演していた『細い目』の監督ヤスミン・アスマドと、シンガー・ソングライターのピート・テオ。3人はプラオベートでも仲がいいようで、和やかな雰囲気のなかでインタヴューが行われていた。
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