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2005年度映画ベストテン [映画ベストテン]

「旅シネ」に寄稿した2005年度映画ベストテンです。



1 ランド・オブ・プレンティ(ドイツ=アメリカ/ヴィム・ヴェンダース)
 ヴェンダースによる“アメリカの友人”への手紙。得意のロード・ムービーというスタイルで、久しぶりに「ヴェンダース映画」に再会した感じがある。9.11以降のアメリカを声高に批判するのではなく、内側から癒そうとする物語に驚きと感動を覚える。
 
2 浮気雲(台湾/ツァイ・ミンリャン)
 開いた口が塞がらないほどの怪作。日本のAV、ピンク映画にオマージュを捧げている。孤独と渇きと疼き。洪水の季節を描いたコメディ『hole』と対をなすような作品。

3 亀も空を飛ぶ(イラン/バフマン・ゴバディ) 
 今までのイラン映画の枠組みから大きく飛び出したかのような印象を受ける。登場人物の巧みなキャラクターづけ、文学的な寓意性、社会批評性。どれも完璧。

4 リンダ リンダ リンダ(日本/山下敦弘)
 高校時代という「原風景」をそのままよみがえらせてしまう力量に脱帽。ペ・ドゥナもますます良い。

5 受取人不明/コースト・ガード(韓国/キム・ギドク)
 ベルリンで銀熊賞を穫った『サマリア』を挙げるより、映画祭のみの上映でビデオ・スルー同然の扱いを受けたこちらの2作品を挙げておこう。

6 ある子供(ベルギー=フランス/ジャン=ピエール&リュック・タルデンヌ)
 前作『息子のまなざし』ほどの完璧さと驚きはないけれど、やはりこの緊張感はスゴイ。ラストもいい。

7 愛についてのキンゼイ・レポート(アメリカ/ビル・コンドン)
 社会意識は時代とともに変わることを痛感。研究者およびセクシュアル・マイノリティを勇気づける作品。

8 輝ける青春(イタリア/マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ)
 近年、60~70年代の学生運動、左翼主義運動を回顧する作品が多いが、中でも傑出した作品だと思う。運動の挫折から現在を繋ぐ時間の中で、もう一度「人間性」を取り戻そうと思索する作業。混迷極まる現代への応援歌。

9 コーヒー&シガレッツ(アメリカ/ジム・ジャームッシュ)
 モノクロームの美しい映像と小粋な会話。この映画を見て、やめていたタバコを再開。ジャームッシュの才能と自分の意志の弱さを再確認。コーヒーとタバコって何でこんなに合うんだろう?!

10 誤発弾(韓国/ユ・ヒョンモク)
 韓国映画屈指の名作といわれる作品をようやく見ることができた。61年に製作されたとは思えないほど斬新な表現に満ちている。朝鮮戦争停戦後の貧困に喘ぐ一家の姿を克明に描く。


◆選からもれたが、放っておけない作品たち

11. アワー・ミュージック(フランス/ジャン=リュック・ゴダール)
 老齢な監督が撮ったものとは思えないほどラフで若々しい映画。遺言状じゃないかと思ってしまう内容。

12.世界(中国/ジャ・ジャンクー)
 東武ワールドスクエアー、北京版。ジャンクーのこだわったローカルな土地をを離れ、北京へ。人工的で閉鎖的な「世界」を舞台にしたアイデアはとても面白い。

13. ボーン・スプレマシー(アメリカ/ポール・グリーングラス)
 前作に引き続き、クールなアクション映画に酔った。新鋭イギリス人監督の美学が光る。

14. ミッドナイト・マイ・ラブ(タイ/コンデイ・ジャトゥララスミー)
 タイ映画の底力がここにある。ラジオからノスタルジックなオールディーズが流れる中、孤独なタクシー運転手とソープランド嬢のプラトニックな愛を綴った秀作。繊細で行き届いた演出に舌をまく。


2006年度映画ベストテン
2004年度映画ベストテン


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