ゴダイゴ [日本]
“Holy & Bright" Godiego (1979)
5月4日、シルクロードの終着点、東大寺・廬舎那仏前で結成30周年記念ライヴを皮切りに本格的再始動を果たした日米音楽同盟5人組。
http://www.universal-music.co.jp/godiego/(ユニヴァーサル移籍後オフィシャル)
http://columbia.jp/~godiego/(コロムビア)
彼らの作品は有名な一連のヒット曲を含め、特に70年代の作品に光るものがあるが、人気が急落した80年代以降も、素晴しい作品を残している。
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アジアという視点で忘れてはいけないのが、『カトマンドゥー』というアルバム。
シルクロードをテーマに制作されたアルバムで、従来のクロスオーバーサウンドにさらに民族音楽的要素も加わえながら、実験的で、なおかつポップな仕上がりをしている。発売前に、ネパールのカトマンズの王立競技場で6万人動員のコンサートを開いており、その様子がライナーの写真に使われている。
『中国・後醍醐』は1980年、中国・天津で行われたライブを収録した物で、観客は全員が人民服を着た中国人。熱烈歓迎ながらも冷ややかな反応も感じられ、当時、メディアミックスの先駆け的バンドで資本主義の権化みたいなバンドが、社会主義国人民と対峙する様は想像するだけでシュールな構図だ。
もはや説明不要の『西遊記』はドラマのサントラでありオリジナルアルバムで、ミリオンセラーを記録。堺正章主演のドラマはイギリスを始め旧英国領でも放送されカルトな人気があるそうで、UK盤も発売された。最近でもSkeewiffとJungle BrothersなどのUKアーティストに音源がサンプリングされてニュースにもなっている。
このアルバムは78年の作品で、後に続くシルクロードブームも含め、日本における戦後最初のアジアブームを作ったのではないか、と今にして思う。
そんな華やかなブームの裏で、靖国神社にA級戦犯が合祀されたのも78年という年だった。それから30年近くたった昨年、靖国問題が懸念され、日中の衝突が顕在化する一方で、フジテレビが西遊記をリメイクしたのには、何か因果があるのだろうか?(笑)
英語詞へのこだわり、米国人二人のメンバー、ミッキー吉野のバークリー仕込みの音楽志向を考えると、彼らのブームの背景には、当時の日本人のアメリカンポップカルチャーへの純粋な憧憬があり、欧米と同じポップカルチャーを共有できるという自負が見え隠れする。その後YMOが一世を風靡し、世界的な視野の下で独自の日本的なアイデンティティーを模索し始めるようになる。それに取って代わるようにして、日米音楽同盟は急速に人気を失い始めるのだった.....。
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