オレンジ&レモンズ [フィリピン]
"Love in the land of rubber shoes and dirty ice cream" orange and lemons(2003) |
Orange & Lemonsと言えば、89年のXTCの超名盤タイトルを思い出すのだけれど、このフィリピンのバンド名も、そこからつけられたらしい。
この1stアルバムの音はその頃のXTCかと言われると、ちょっと違って、80年代前半のイギリスの”ネオ・アコ”〜スミスあたりにシンパシーを感じるサウンド。タガログ語曲2曲以外は全て英語の曲。ジャケットにはなんとロータス・イーターズのジェレミー・ケリーとclub8のメンバーによる紹介文がこれみよがしにシールで貼られている。
"Strike whilst the iron is hot" orange and lemons(2005) |
世界のギター・ポップ・ファンの注目を集めた彼らは、やはり、大手が放っておくはずもなく、ユニヴァーサルからメジャーデビューを果たす。スミス的な雰囲気を残しつつも、メジャー指向なのか一作目よりも大味な感じがする。
"Strike whilst the iron is hot ~Repackaged album " orange and lemons(2005) |
そして、TVドラマ“Big brother"シリーズの主題歌”Pinoy Ako"(I am philippino)で大ブレイク。しかし、人気が出たと同時に、盗作問題が沸き上がる。この曲、イギリスのバンド Care の "Chandeliers"(アルバム Diamonds and Emeralds、1997)という曲にソックリなんだそうだが、どうだろう?
また1stの"the beggining of something wonderful"という曲もThe Housemartinsの"Happy Hour again"に似ていると指摘されている。いずれも、著作権を侵害する範疇にないと、レコード会社側は主張しているようだ。
メンバーは首都マニラのすぐ北に位置するブラカン州出身の4人。平凡と退屈から逃れるために音楽制作に没頭したというソングライターのClem Castro(vo&g)とMcoy Fundales(g)に、JM Del Mundo(b)、Ace Del Mundo(dr)の兄弟。Eraserheadsのトリビュートアルバムにも参加している。 残念ながら2007年に活動停止。
official : http://www.orangeandlemons.ph/
イレイザーヘッズ [フィリピン]
『Cutter pillow』Eraserheads(1995)
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「イレイザー・ヘッド」といえば、デイビッド・リンチのカルト・ムービーを真っ先に思い出すかもしれないけれど、その名前を冠した奇妙なバンドがフィリピンという島国に存在していた。2001年に惜しくも解散してしまったのだが、イーストバウンド的にはフィリピンの音楽を取り上げる上で、避けては通れない重要なバンドだ。
僕が初めて彼らの音楽を初めて耳にしたのは1996年頃。タイの安宿のつけっぱなしのTVから流れていた、Ang Huling El Binboという曲のPVだった。(上記のアルバムの最後の曲。)あまりにいい曲だったのでレシートの裏に”Eraserheads”とメモをしたほど。ちなみに、この曲は東南アジアのMTV Award を受賞している。
今聴くと、うーん、という感じかもしれないけれど、当時のトレンドからすると、オアシスの『Whatever』的な曲、つまりビートルズ・フレイバーを全面に出した曲という感じで、東南アジアという場所柄もあり、非常に新鮮に聞こえたのだった。
『Aloha Milkyway』Eraserheads (1998) ベスト盤的要素もあるアジア・インターナショナル盤。 Tamagochi baby収録。 |
彼らの音楽をオルタナティブ系とジャンル分けしてしまうのは簡単だけれども、中にはネオアコっぽいのとか、先日取り上げたアイランド・ロックなんかの要素もあったり、もちろんブリットポップ、グランジ、パワーポップ、ハード・コア、、、といったスタイルもあったりする。あえて別な言葉で言うならば、ポップ・ロック・シーンの「シニガン・スープ」といったところか。
一番の魅力はやはり心憎いメロディ・ラインにあると言っていいだろう。 ほとんどの曲を作曲しているのはフロントマンのEly Buendia (vo, g) で、ビートルマニアと自称するだけあって、その卓越したポップ・センスは世界レベル。アジア全域で発売された『Aloha Milkyway』(1998)というインターナショナル盤も出ているし、1998年には来日し、NHKのライブ番組に出演している。
バンドの演奏にはちょっと頼りなさもあって(笑)インディー・ポップさ、瑞々しさ、があるというのも特徴。タガログ語と英語の曲が混在していて、その雰囲気の違い、というか落差(?)もある意味、魅力的だ。(フィリピンは多民族国家でタガログ語と英語が公用語なので、混在するのが一般的。)惜しむべくはミックス、あるいはCDの盤質が非常〜に悪いということ。
『Ultra-electro-magnetic-pop!』Eraserhead(1993) デビュー・アルバム。 |
マニラにある名門校、フィリピン国立大学ディリマン校で知りあったEly Buendia (vo, g)、Marcus Adoro(g)、 Buddy Zabala(b)、Raimund Marasigan(dr)の4人が1989年に結成。91年頃、『POP-U』というカセットをインディーでリリースし、カレッジチャートを賑わせた後、93年にメジャーデビュー。あとは出すアルバム全てが記録的ヒット。去年リリースされた『Anthology』(2004)は解散して月日が経っているのに、チャートで上位にランクしてしまうくらいなので、その人気ぶりと影響力が判る。
以前は素晴らしい英語のファンサイトがあったのだけれど、今は残念ながら消失しているようだ。 99年以降の彼らの詳しい情報はここらへんで。
http://www.philmusic.com/zine/news/2000/12/122500_cos/
『Circus』Eraserheads(1994) 2nd。3rdと同じく、ネオアコやアイランド風も充実。 ジャケットがカラパナを思わせる。 | |
『fruitcake EP』Eraserheads(1996) | |
『fruitcake』Eraserheads(1996) クリスマス・アルバム。 同時にストーリーブックも発売されたらしい。 | |
『Bananatype EP 』Eraserheads(1997) | |
『Sticker happy』 Eraserheads(1997) かなりブリット・ポップ色。 |
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『Natin99』Eraserheads(1999) 全曲タガログ語。 | |
『Carbon steroxide』 Eraserheads(2001) ラスト・アルバム。 Maskaraという曲のPVとそのメイキングが入ったVCDつき。 Playgroundは名曲。 |