Relay [韓国]
Relay05 (2006/1/13 @ yri Cafe)
Alfred Harth, Joe Foster, Choi Joonyong, Jin Sangtae(sounds), Jeong Youp SHIN(visual)
この時期、ちょっと油断すると風邪をひいてしまうように、ちょっと気を抜くとアジアのイベントを見逃してしまう。
9月終わりから11月のアジア関連イベントをざっとあげてみると、『ドキュメンタリー・ドリーム・ショー〜山形in東京』、『侯孝賢映画祭』、『POP ASIA+』、『東京国際映画祭』、『東京アジア・ミュージック・マーケット』、『NHKアジアフィルムフェスティバル』、『東京フィルメックス』...という怒濤。
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そんな中、見逃してしまったのが、韓国のシーンを牽引するJin SantaeとRyu Hankil二人の来日公演(@GRID605 vol.16)。
韓国のノイズ〜エレクトロニカシーンもここ『RELAY』のHPを観ると静かに盛り上がってる様子。
上の動画はJin Santaeのほか、去年の『アジアン・ミーティング・フェスティバル』にも参加していたJoe Foster、Choi Joonyong(アストロノイズ)が参加している模様。
浜辺の女 [韓国]
東京国際映画祭、一本目。ホン・サンス監督の新作『浜辺の女』を観た。
主人公はいつもの”ダメ人間”風の映画監督。シナリオが出来ないので、旅先の宿で書き上げようと、後輩を誘う。後輩は”恋人”もいっしょに連れて行きたいという。かくして3人は浜辺のコテージに滞在することに。
①男A+(男B+女A)→(男A×女A)+男B
②男A+(女A' +女B)→(男A×女A')+女B
③女A×男A×女A'→ 男A+(女A=女A')
④男A+女A+女A'
(観ていない人には意味不明の博士の数式)
男女の機微、見栄、誤解、嘘、すれちがい、をそこはかとない可笑しみの中に描く。魅力的な言葉の応酬もあって、小気味いいテンポが好感をもてる。気になったのは、主人公の映画監督が二人の女と関係をもつ過程で、似ても似つかない女ふたりを「似ている」というところ。それは女Aも女A'も彼にとっては「同じようなもの」を意味していて、さらに男と女の絶対的な違いを鮮明にさせる。「旅先のレストランで出くわしたウェイトレスが、ソウルに住んでいる知り合いの女性と似ていて不思議な感じを受けた」という監督の体験からから着想したそうだ。
監督も会見でコメントしていたが、「三角関係が瓦解し、また新たな三角関係ができていく」構造があって、男女関係のダイナミズムの中に、人間の本性を見出そうとしているようだ。
主人公がシナリオを書き上げると、二人の女をおいてソウルに戻っていく。
劇中、ドリという名の犬が飼い主に捨てられて、また新たな飼い主に拾われパダ(海)という名前をつけられる。そのエピソードが、ラストシーンの浜辺に佇む女Aに重なる。
バイバイ・キップリング [韓国]
『さよならナム・ジュン・パイク展』6/10-10/9@ワタリウム美術館(終了)
今年始めに亡くなったメディア・アートの先駆者の追悼展に行って来た。
出身が韓国である事以外、このブログ向きのトピックはないだろうと思っていたのだが、意外と「アジア」にこだわった作品もあった。ルーツにこだわるのは、当然のことか。
『ユーラシアン・ウェイ』(1993年)
ユーラシア大陸の「北の道」の形に配した無数の日曜雑貨と3種類の映像作品から構成されたインスタレーション。
映像は「イルクーツクからモスクワまでの旅の行程を撮ったもの」や「ヨゼフ・ボイスの追悼式」の映像。
フルクサスの活動で常に行動を共にしていたヨゼフ・ボイズの「EURO+ASIA」(=ユーラシア)というコンセプトのASIA側を担っていたのがナム・ジュン・パイクだった。
『バイバイ・キップリング』(1986年10月4−5日)
19世紀末の詩人キップリングの『東は東、西は西 ふたつは出会う事はない』という言葉に別れを告げよう、というコンセプトの下に制作されたNY、東京、ソウルを中継したライブ・サテライト・ブロードキャスト。「サテライト・アート」といわれるもので、スポンサー、テレビネットワークやアーティストを参加させるという制作のプロセスが大規模。(ビデオにて)
学生の頃、テレビ朝日で放映された番組。かすかな記憶はあるけど、坂本龍一が司会のようなことをやっていた事以外、何も覚えていなかった。そんなコンセプトがあったとは。フィリップグラス、ルー・リード、磯崎新も参加していた。
クラジクワイ [韓国]
”Clazziquai project”はDJ クラジクワイ(キム・ソンフン)とツイン・ヴォーカルAlex&Horan兄妹によるラウンジ系ユニット。clazziquai=classic+jazz+jamiroquaiのquaiなのだとか。韓国のFPMあるいはm-floといったところか。上のデビュー作は本国では1年間に渡ってアルバムチャート30位内という異例の大ヒットとなる。m-flo、テイ・トウワ、須永辰緒、FPM、野宮真貴、小西康陽、PE'Zと共演し、すっかり日本でもおなじみ。Avex から2枚のフルアルバムを出している。
- アーティスト: Fantastic Plastic Machine, Tomoyuki Tanaka, TAHITI 80, Xavier Boyer, CLAZZIQUAI PROJECT, BENJAMIN DIAMOND, SU
- 出版社/メーカー: カッティング・エッジ
- 発売日: 2006/02/22
- メディア: CD
FPMのアルバムでは、ガンズのサンプリングで有名な”Don't you know"でフィーチャーされている。
クラジクワイは以前ちょっとここで話題になりましたが、やはり、僕はこの曲が好きですね。ビデオクリップにはイム・スジョンと映画「王の男」で話題のイ・ジュンキが出演していている。
セックスとジェンダー [韓国]
韓国インディペンデント映画2006
8/19~25@渋谷イメージフォーラム
http://www.imageforum.co.jp/kankoku/indi2006/
プログラマーはフィルメックスでおなじみ、トニー・レインズ。
今年は「セックスとジェンダー」というテーマで開催中。
ライナスの毛布 [韓国]
日本のバンド、Advantage Lucy (元Lucy van pelt)のコピーバンドからスタートしたという韓国のギターポップバンドLinus' blancket。バンド名もチャールズ・M・シュルツの『ピーナッツ』に出て来るルーシーとその弟ライナスを意識しているのだろうか。韓国のバンドが日本のバンドのコピーをしてたなんてちょっと素敵な話だ。
音は、理想的かつキュ−トな女の子ヴォーカルによるなギター・ポップ。特にこらからの季節に相応しい、3曲目の「クリスマス・トレイン」は唯一のハングル語曲でオススメ。パーティーの選曲にどうぞ。
メンバーはカン・ミンスン(g) ペ・キジュン(g) ワン・ヨンジン(vo, key)リー・ヨンスク(b) リー・ヨンヘ(dr)の5人。中心メンバーのミンスン君はつい最近まで日本に滞在し、Miniskirtという日独韓混成バンドのギターとして活躍していた。今はどういう活動をしているのかというと、11月号のミュージックマガジン紙にインタビュー記事が載っているのでそちらを参照。韓国のギターポップやインディー事情についての記述があって興味深い。また、まだ僕は聞いていないけれど、今年の6月に、2年ぶりのマキシ・シングル『Labor in Vain』が出ている。東京国際映画祭に出品された韓国映画『恋愛の目的』の挿入歌『Walk』が収録されてるそうだ。
Labor in vain Linus' blanket(2005) Beatball records |
Official site: http://www.linus.cue.to/
キム・ギドク [韓国]
韓国に行くと、至る所で兵士を見かける。休暇中なのか仲間と軍服姿で群れてる者。両親と束の間の再会をしている者。そんな光景に出会うと、停戦状態であるとはいえ、韓国が未だ戦時下にあることを思い知らされる。
ある兵士の狂気と悲哀。「地獄の黙示録」にも通じる所がある。映画祭上映のみで劇場公開されなかったのはその過激さゆえだろうか?
まだDVD化されていないけど、黒人アメリカ兵を父親に持つハーフの少年を描いた『受取人不明』も、かなり政治的で、挑発的な作品。今年の4〜5月に開催された韓流シネマフェスティバルで観たのだけれど、両作品とも、観終わった後、あまりの重さにぐったり。放心状態だった。
キム・ギドク監督は最近立て続けにベルリン(『春夏秋冬そして春』)やヴェネチア(『サマリア』)で大賞を穫っているが、もっともギドクらしさが出ているのはこの『コースト・ガード』や『受取人不明』あるいは『悪い男』あたりだろう。
ユン様 [韓国]
ロンドン在住の韓国人アーティスト、ユンキーの日本デビューアルバム。音はKingTubby ミーツ「ポンチャック」。ちょっと違うかもしれないけど、ニュアンスはそんな感じ。ダブでダルな脱力系世界。
過去10年間の音源を集めた作品集。DVD映像、読むのがつらいマンガ付き(笑)。故郷ソウルとロンドンの生活が交錯する映像が面白い。タイトルのHan RIverとはソウルの中心を流れる漢江のことだろう。