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Art Through Our Eyes [東南アジア]



六本木は新国立美術館で開催中の「サンシャワー 東南アジアの現代美術展」関連プログラム「FUN!FUN!ASIAN CINEMA@サンシャワー」(8/10-13)では日本初上映の『Art Through Our Eyes』と未見の『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』を観た。『Art Through Our Eyes』は今までありそうでないような試みのオムニバスでとても面白かった。美術史家・後小路雅弘さんの解説つき。しかも無調上映でありがたい。


『Art Through Our Eyes』(2016)

シンガポール国立美術館が企画、東南アジアの5人の監督が同ギャラリーに収蔵されている作品から受けたインスピレーションを基に制作した短編オムニバス。


●ジョコ・アンワル監督 × ラデン・サレー『傷ついたライオン』19c

伝統的なジャワの舞踏・舞踊を守る主人公は、生活に困窮して路上で演じることに。しかし誇りを失っていない姿が、このライオンと重ね合わせられているのか。ラデン・サレー(1807-1880)はインドネシアの画家で、孤立した存在。ジャワの貴族の出身で30年ほどヨーロッパにいた。ライオンはオランダを象徴いしていると言われる。


●ホー・ユーハン監督 × ラティフ・モヒディン『Aku オレ』(1958)

モヒディンはドイツに留学し、伝統美術を抽象化した作風と知られる。
『Aku』は詩人ハイリル・アンワルのポートレイト写真をもとに、モヒディン17歳の時に描いた作品。背景にはマラヤ連邦の独立の機運と関係がある。
『Aku』という詩は別名『闘魂』としても知られるアンワルの詩でもあり、「このオレは群れから捨てられた野生の獣だ 弾丸が皮を貫こうとままよ 止めずにオレは襲いかかる」(詩集『ヌサンタラの夜明け』より)というもの。日本占領下、日本軍が東南アジアに軍政を敷いていた時につくった「啓民文化指導所」というプロパガンダ組織で、初めてアンワルがこの詩を聴衆の前で詠んだという。


●ブリランテ・メンドーサ監督『アモルソロの夢』 × フェルナンド・アモルソロ『占領下の市場』(1942)

フェルナンド・アモルソロはフィリピンのアメリカ時代を象徴する画家。官能的な女性像や南海の楽園としてのフィリピンのイメージをアメリカに広めていった。『占領下の市場』は日本占領の厳しい状況下でも明るさを失わない庶民のパワーが描かれている。


●アピチャッポン・ウィラーセタクン監督『炎』 × ラデン・サレー『ムラピ山 夜の噴火/昼の噴火』

さすがというべきかぼやけたモノクロ映像が独特で、映像的にはこれが一番印象的だった。
ラデン・サレーは1850年にインドネシア・ジョグジャカルタに帰国。『ムラプ山』は標高2980の聖なる山・神話的な山。アピチャッポン監督は、近代的な眼を持つラデン・サレーの近代性と同時に、ムラピ山の神話性に目を付けたのか。

●エリック・クー監督『ポータブル・シネマ』 × チュア・ミアティ(蔡名智)『路上の幻燈』

『路上の幻燈』で描かれた幻燈機は1セントで2分の映画が観られるというもの。エリック・クーの創作シネマは正義のヒーローをモノクロ映像で描く。後半はカラーのドキュメンタリー。
チュア・ミアティ(蔡名智)は『国語の授業』(1959)で有名なシンガポールの画家。『国語の授業』はマラヤ連邦独立時の頃の授業の様子で「 Siapa nama?」と黒板に描かれている。


詳細はこちら
https://jfac.jp/culture/features/f-ah-funfunsunshower-masahiro-ushiroshoji/2/


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