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カラフル!インドネシア2 [インドネシア]

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「カラフル!インドネシア2」1/25ー28@アテネ・フランセ文化センター
昨年の第29回東京国際映画祭で好評だった特集「CROSSCUT ASIA #3/カラフル!インドネシア」の第2弾。

【2017年01月25日(水)】
今日はアテネフランス文化センターに缶詰になって「カラフル!インドネシア2」のプログラムから『短編傑作選』『三人姉妹』『9808』の3本を。


●『インドネシア短編映画傑作選』

どれも素晴らしかった。特に面白かったのは華人少年の青臭い性を描いた『虎の威を借る狐』(Lクスワンディ監督)。軍の抑圧と強請られる華人の置かれた状況を滲ませている。『申年』(レガス・ハヌテジャ監督)は金に困った女が男性同僚にマッチ1本を使って頼み事をする。珍妙だが深淵な作品。
『恐怖の起源で』(バユ・プリハントロ・フィレモン監督)『メモリア』(カミラ・アンディニ監督)は反共プロパガンダと東チモールのインドネシアの黒い歴史に迫った重厚な作品。冒頭の『マリアム』(シディ・サレー監督)はクリスマスに教会のミサへ行くハメになったモスリムの家政婦の戸惑いと闇を描く。


●『三人姉妹』('56) ウスマル.イスマイル監督

父親と祖母に育てられたヌン、ナナ、ネニーの3姉妹。29歳になった長女を結婚させようと祖母と父は画策するが、うまくいかない。ある日、ヌンはトトという青年のバイクと接触事故を起こし…。美人姉妹と音楽が素晴らしい。ラストは「おそ松くん」か?と思うオチだった。
先に2016年リメイク版を観てしまったけど、オリジナルを踏襲して作られてる事がよくわかった。個人的には、三姉妹役はオリジナル版の方が魅力的にみえる。トト(ユダ)役はR.デワントの方が良い。確かクリスチャンのハーフという設定で地域・宗教的な奥行きもあった。

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●『9808〜インドネシア民主化 10年目のアンソロジー』

98年のジャカルタ暴動〜スハルト政権崩壊から10年目に、映画監督、ミュージシャン、アーティストによって作られた短編アンソロジー。

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・10年前、何をしていたかを、海外在住者も含めインタビューした「where was I?」アングン・プリアンボド監督
・暴動で息子ワワンをな亡くした母親の想い「未解決の問題」ウチュ・アグスティン監督
・暴動で母親を亡くした中華系の女子が韓国へ旅をし、北京に戻るまで「フアンとチャン・グアン」イファ・イスファンシャー監督
・10年の私的な生活をざっくばらんに振り返る「昨日」オッティ・ウィダサリ監督
・中華系が苦肉の作としてインドネシア風の名前をつける奇妙さを描く「スギハルティ・ハリム」アリアニ・ダルマワン監督
・この10年あまり変化がなかったと語る演劇界に身を置くジェン・マライスとの対話「ジェンとの対面」ハフィズ監督
・33年間禁止だった春節と学生時代の記憶「保護なき時代の思い出」L.クスワンディ監督
・あらゆる傷には物語があるの、と語る女と左眉に傷のある青年の長距離バス内での会話「Trip to the wound」エドウィン監督
・地方議員を妻にもつ元活動家クチンの今を追ったドキュ「元活動家クチンの10年」ウィスヌ・スルヤプルタマ監督
・学校の教師たちによる不正会計を追求するスラカルタ(ソロ)の高校生たちのドキュ「僕らの学校、僕らの生活」スティーヴ・ピラー・スティアブディ監督




【2017年01月26日(木)】
今日もアテネフランセで「カラフル!インドネシア2」。『white shoes & the couple company ~』、『SITI』、ジョコ・アンワル監督『禁断の扉』の3本を。籠城の前に共栄堂のスマトラカレーで腹ごしらえ。


●『White Shoes & the Couples Company in Cikini』ヘンリー・ファウンデーション監督

TIMにあるジャカルタ芸術大で結成されたギターポップバンドの記念ライブの模様。125000Rp.のチケット代でも高くないというファンたち。演奏された楽曲は「悲哀の波」「ウィンドゥとデブリナ」「サンデー・メモリー・レーン」「アクシ・クチン(猫の動き)」など。ドラムのジョンが管弦楽とルロイ・アンダーソンの『タイプライター』を演奏する所がツボだった。メンバーゆかりの人物や「チキニ」エリア〜マルズキ・パーク、ラグナン動物園、BB(ライブハウス)、リアン・レコーズ、ガドガド・ボンビン、郵便局などが紹介されていた。当然ながらスラバヤ通りでレコード漁りの風景も。
Moccaというバンドにハマっていた頃、このWSTCCの存在は知っていたけど、買うまで至らなかった。その後も活躍していたんですね。むしろローカル色を強くした最近の作品の方が面白そうだ。(http://bit.ly/2jvAXFZ)ボーカルのサリは『三人姉妹』のサントラカバー集に参加している。


●『SITI』エディ・チャフヨノ監督

事故で半身不随になった夫の借金返済、そして息子や義母を養うためにスナック売りとカラオケバーのコンパニオンを掛け持ちして働くシティ。ある日、客のガドから求婚されるが…。窮地に立たされた女性の苦しみや葛藤が伝わって来るが、状況説明に終わってる感。ちょっと物足りない。

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●『禁断の扉』('08)ジョコ・アンワル監督

彫刻家のガンビルは「美しい妊婦展」という展覧会を開いている。成功と美しい妻タリダを手に入れていたが、妻との間にある秘密があった。妊娠の望まない妻の提案で堕胎した胎児を妊婦像の中に遺棄したのだ。ガンビルは、ある日家の前で「助けて」という落書きを発見する。それを辿って行くと「ヘロサセ」という会員制のクラブへ…。部屋の一室にはテレビがあり、そこには映像が流れていた。「助けて」と発信していた子供が親から虐待を受けていた。この子供は誰で、いったいどこにいるのか。ガンビルは、妻やその母親、友人たちに貶められていると気づき、彼らをクリスマスのディナーに招き、復習するのだが…。血生臭いシーンもあるが、世界観が2転3転する非常によく出来たサイコスリラー。ローカル色を排除し、デ・パルマ、リンチ愛が随所に。

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無料配布の冊子。昨年行けなかったインドネシア怪奇映画についての四方田先生の講演録が載っている。


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