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28th TIFF [アジア総合]

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『レイジー・ヘイジー・クレイジー』チーム。


第28回東京国際映画祭(10/22 - 31. 2015)


今年は六本木会場の他に、新宿が会場になった。新宿の良い所は、六本木や去年の日本橋に比べ時間つぶすにも選択肢が豊富だということ。(といいつつ、今回は一度も新宿会場を利用しなかった)
CROSSCUT ASIA #02は「熱風!フィリピン」。「ブリランテ・メンドーサの世界」と称して監督の未公開作がようやくお目見え。首を長くして待っていた『サービス』(08)は、待ちきれず某動画サイトで一度観てしまったが、日本語字幕版がやっと観られた。カンヌ受賞作『キナタイ』(09)や『囚われ人』(12)など公開されてるけど、メンドーサ監督作品の紹介はちょっと遅きに失した感あるなあ。

今年はこれまでで最多の鑑賞本数にも関わらず、コレ!といったのがなく全体的に低調だっような気がするけど、28thTIFFの個人的ベスト5は 1.サービス / フォスター・チャイルド 2.The kids  3.錯乱  4.お里帰り 5.レイジー・ヘイジー・クレイジー。
観そびれしまった『孤島の葬列』(タイ)と『告別』(モンゴル)、コンペの『カランダールの雪』(トルコ)が入賞するというハズしの美学が今年も実現。どこかで再上映お願いします!

以下、ツイッターまとめ。

【2015年10月22日(木)】
中国映画週間のプログラムから台湾出身の蘇有朋 監督『ひだりみみ』を観てきた。今回は観られないのが残念だけど、予告編でパン・ホーチョン作も紹介されていて、やはり際立ってた。。


●『ひだりみみ』 蘇有朋(アレック・スー) 監督 ☆ 

左耳の聴こえない少女・李珥と同じ高校に通う男子・張漾と許弋。受験まで85日しかない中、クラブで歌う女・黎吧啦と出会い複雑な関係になる。最初に各々が想っていた恋愛感情が意外な着地へ。ある人物の死を乗り越え大人になろうともがく切ない青春群像劇。かなり見応えあった
主演の女の子が大場久美子(古いですか?)に似てると思ったらラストは違う雰囲気になってた。登場人物の故郷のロケ地は東山県という所らしいが、街並みなど大陸らしさが感じられて良かった。



【2015年10月23日(金)】
TIFF1本目はベロッキオと悩んだ挙句、やはりブリランテ・メンドーサ監督『サービス』を選択。


●『サービス』(08) ブリランテ・メンドーサ監督(フィリピン)→CROSSCUT ASIA #02

●『奇跡の女』(82) イシュマエル・ベルナール監督(フィリピン)→CROSSCUT ASIA #02

●『僕の桃色の夢』 郝傑監督(中国・コンペ)

郝傑監督のヰタ・セクスアリス。初恋の女性・春霞(夏目雅子似)との顛末を95年から現在まで描いた自伝的な物語。主演以外は故郷の素人俳優を使う点は相変わらず。ユーモア増量だが、父親の死に謎を残している。子役四天王が良い味を出していた。



【2015年10月24日(土)】
TIFF2日目。


●『お里帰り』 キッドラッド・タヒミック監督(フィリピン)→CROSSCUT ASIA #02

●『ボーン・トゥ・ビー・ブルー』 リバート・パドロー監督(アメリカ・コンペ)

麻薬売買のトラブルで上顎・前歯を失ったチェット・ベイカーが再起するまで。イーサン、似てるけどエラの張り方が足りない。1曲目はLet's get lost。歌声がかなり違い残念だったが、イーサン自身の肉声と知って驚く。シンプルな構成ながら心掴まれる。

●『レイジー・ヘイジー・クレイジー』 ジョディ・ロック(陸以心)監督(香港・AF)☆

援助交際をする女子高生3人の日常。赤裸々なガールズトークにおっさんタジタジ。仲良しながら一人の男子をめぐり泥沼。しかしラストは清涼感すら漂う不思議な新感覚エロ青春映画。モンモンちゃん食われなくて良かった。

●『バロットの大地』 ポール・サンタ・アナ監督→CROSSCUT ASIA #02



【2015年10月25日(日)】
TIFF3日目。


●『百日草』 林書宇監督(台湾・WF)

同じ交通事故で妻を亡くした育偉、婚約者を亡くした心敏。二人の男女の深い喪失感を平行して描く。監督は実際に伴侶を亡くし、今はこれしか撮れないと臨んだ作品。凄い力量を感じる作品だが、真正面すぎてコメントに窮する。小学生がトイレで産んだウサギの話、弟の涙、沖縄、グルメ自殺。

●『風の中の家族』 王童監督(台湾・WF)

国共内戦で台湾に逃げてきた国民党軍兵士の盛、順子、范、そして拾われた子供・奉先。血の繋がらない外省人家族の苦労の戦後史。ドラマはすごく面白かったが、太陽花学運後のせいかラストに政治的意図を感じてしまう。『流』を読んでる最中なのでビビットに感じられた。ここの所、「外省人も忘れんなよ」映画が続いてたけど、ついにザ・外省人みたいな真打ち映画が登場した感じ。

●『民族の師 チョクロアミノト』 ガリン・ヌグロホ監督(インドネシア・WF)

1921年、スラバヤ・カリソソク刑務所で暴動の黒幕容疑で尋問を受けるチョクロ。指導者として頭角を表し、イスラム同盟を組織、全土に民族運動を展開するまでを回想。所々にスラバヤ・ジョニーなど現代的アレンジの音楽やダンスが入るのがヌグロホ監督らしい。
オランダ領東インド下の人種差別の様子、献身的な妻の死、後の共産党の流れをつくるスマウンと袂を別つシーンなど、スカルノ政権誕生の礎になる時期を描いていて興味深い。サレカット・イスラム(イスラム同盟)が元は華僑商人に対抗して作られた組織で、旗がパキスタンの国旗みたいだったのが意外。


【2015年10月26日(月)】
TIFF4日目。


●『インビジブル』 ローレンス・ファハルド監督→CROSSCUT ASIA #02

●『The kids』 于瑋珊(サニー・ユイ)監督 (台湾・AF)☆

16歳のバオリーと3歳上のジアは働きながら赤ん坊を育てているが、状況は悪くなる一方。過去と現在が交互に進行し、なぜ現状がこうなのか因果関係が徐々に明らかになる構成。なにゆえこうも優れた青春映画が台湾から生まれてくるのか。処女長編とは思えない。張作驥の弟子筋。


【2015年10月27日(火)】
TIFF5日目。今日が山場。


●『Ok Darling』 マニ・ラトナム監督(インド・WF)

ゲームクリエイターのアーディと建築家志望のターラがムンバイを舞台に愛を育む。アフマダバードでターラの父親が通ってたモスクへ行くくだり、モスリム系を匂わせていて『ボンべイ』(95)を喚起。間借りしている老夫婦のエピソードを絡め、安定のクオリティ。
マナマナは心のうずき カナカナは邪な年頃 タカタカは音楽のリズム・・・ ラフマーンの音楽も健在。→訂正。父親が通っていたのはモスクじゃなくて、アシュラムだったようです。よって父親はヒンドゥーの可能性が高いです。早合点。まあ舞台はムンバイだし、叔母さんにわざわざ言わせてるので、『ボンベイ』を多少は意識してると思いたい。新しい男女関係の理想を描いてるようだ。

●『錯乱』エミン・アルペル監督(トルコ・WF)☆ 

テロリスト探索任務と引き換えに仮釈放されたカディル。故郷は封鎖地域になっていて、20年振りに弟アフメットに再会するが何かがおかしい。野犬駆除、近所の夫婦の失踪、爆発音、事態は緊迫。クルド人地区を想起するが、あえて特定せず、IS と隣接するトルコの政治状況を物語る問題作。

●『少年班』肖洋監督(中国・WF)

98年、大学教授・周知庸の元に集められた知能指数の高い方厚正、周蘭、呉未、マック、大法。実際に78年に中国で始まった天才少年養成制度。彼らと大学生たちの軋轢を描く。設定・キャラは抜群に面白いが、途中から恋愛青春モノになり空回り。世界数学競技会で山場を作ってほしかった。挿入歌含め音楽が良かった。監督自身も西安交通大学の少年班だったというから驚き。

●『スナップ』コンデート・ジャトゥランラッサミー監督『スナップ』(タイ・コンペ) 

卒業から8年、軍人大佐の娘プンは友人の結婚式で故郷へ。そこにはカメラマンになった初恋の相手ボーイがいた。テレビからは14年の戒厳令を伝えるニュース。これはちょっと問題作。一見、甘く切ないドラマを装っているが、タイ国民のニ分された断絶、埋まらない溝を描いてるようだ。
8年前とは、いまの政情になる発端となったクーがあった年。その間SNSなどの出現でスナップ写真の意味も、自己満な物に変わってしまう。実は共有していた想い出も思い込みだったのでは?(監督の弁)、という懐疑。国が一つに纏まっていた、ことへの懐疑。監督の絶望感が伝わってくる。


【2015年10月28日(水)】
TIFF6日目。本当は休みの予定だったけど、夜だけ参加。


●『フォスター・チャイルド』(07)ブリランテ・メンドーサ監督→CROSSCUT ASIA #02

●『河』ソンタルジャ監督(チベット・WF)

まだ一家の主としては未熟な父親と身重の母親、そして甘えん坊の娘ヤンチェン・ラモ。羊を放牧して生活する一家の姿を淡々と描く。河を越えた場所にある瞑想窟には出家した祖父が籠っているが、息子はある事で彼を許せない。柔らかな陽光が全てを包みこむラスト。ヤクの角の哺乳瓶も。


【2015年10月29日(木)】
TIFF7日目。


●『汝が子宮』(12)ブリランテ・メンドーサ監督→CROSSCUT ASIA #02

●『三日月』イスマイル・バスペス監督 (インドネシア・AF)

活動家のヘリは海外渡航のために急遽パスポートが必要になり実家に戻る。手続き短縮のため姉のコネに頼る条件として老齢で頑固者の父親の旅に付き添うことに。父親はヒラルというレバラン(断食月明け)を告げる月を見るために、トゥラガ・プルクティという場所に行こうとしていた。
キリスト教会建設で起きる宗教対立。イスラム塾の同窓の政治家アリフィンの日和見。ヒラルかヒサップ(計算でレバランを決める)どちらを採用するかはローカルグループによって異なる点など。冒頭に「友愛イスラム運動と差別撤廃のために」の言葉。頑固親父が声も含め仲代達矢だった。


【2015年10月30日(木)】
TIFF8日目(最終日)。


●『今は正しくあの時は間違い』ホン・サンス監督(韓国・WF)

映画監督のチュンスは水原・華城行宮の福内堂で画家のヒジョンと出会う。同じ出来事が変奏される2部構成。前半は畏まってる感じで、後半は本性出してる感。 今回はあまり入りこめず、ちょっと気を失う。せっかくの大スクリーンなのに。ホン・サンス倦怠期かな。

●『少年バビロン』相国強監督(中国・AF)

20歳の見習い工・路少路は化学工場に就職、女医の白藍に恋をする。90年代の市場経済移行期を背景にした青春劇。謎めいた白藍は唐山地震で家族を亡くし、監督の説明では政治運動に関わり(六四か?)まともな病院に就職出来なかったと言う設定に説得力。独特な魅力にひかれる。
牛魔王の教育、恋敵の出現、デカ足の大学合格、熱風呂ガマン対決、三交代班の差別、父親のリストラなど、カオスな出来事の中で、主人公・少路の白藍への一途な気持ちが際立っていた。主演俳優は『少年班』にも出てた。



【受賞結果】
東京グランプリ:『ニーゼ』監督: ホベルト・ベリネール監督
審査員特別賞:『スリー・オブ・アス』 ケイロン監督
最優秀監督賞:ムスタファ・カラ監督『カランダールの雪』
最優秀女優賞 :グロリア・ピレス 『ニーゼ』
最優秀男優賞:ローラン・モラー/ルイス・ホフマン『地雷と少年兵』
最優秀芸術貢献賞 :『家族の映画』オルモ・オメルズ監督
観客賞:『神様の思し召し』エドアルド・ファルコーネ監督
WOWOW賞 :『カランダールの雪』
アジアの未来・作品賞:『孤島の葬列』ピムパカー・トーウィラ監督
国際交流基金アジアセンター特別賞:デグナー監督『告別』
日本映画スプラッシュ・作品賞:『ケンとカズ』監督:小路紘史
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