SSブログ

第10回大阪アジアン映画祭 [アジア総合]

oosaka10.jpg


第10回大阪アジアン映画祭   2015年3月6日(金)〜15日(日)

10回目にして初参加。目当ては、『藍色夏恋』の易智言(イー・ツーイェン)監督久しぶりの単独新作『コードネームは孫中山』である。
映画を見るために旅をするというのは初めての経験。実際、初めての会場の不案内や「今晩何食べようか」「あそこへ行ってみよう」「京都はどこへ行こうか」など雑念が入りこみ、映画に耽溺できたとは正直言いがたかったが、7本を鑑賞した。



【2015年03月12日(木)】
今日は初参加の大阪アジアン映画祭で『アバディーン』『セーラ』『点対点』『サシミ』の中華フルコース。『点対点』がいい線いってた。


●『アバディーン』パン・ホーチョン/彭浩翔監督(香港)

香港島南部の漁師町アバディーン(香港仔)を舞台に、予備校教師のワイトウと姉ワイチン、父親のドンを中心にチェン家の何気ない幸せの物語が紡がれる。
前日の不眠のため、かなり寝落ちするも、それぞれの物語がちょっとだけ好転する趣旨のウェルメイドな作品とお見受けした。まだ若いのだから、落ち着いた作品をとるのは早い、というか、パン監督にはもっと低俗路線で暴れてもらいたい。

●『セーラ』ハーマン・ヤウ/邱禮濤監督(香港)

ジャーナリストのセーラは、政府高官が集まる高級クラブに潜入取材し、記事を書くが、会社の事情でお蔵入りに。腹を立てたセーラは衝動的にチェンマイへ。そこで買春をするアンジェラと出会い、セーラの少女時代の過酷な体験がよみがえる。父親からの性的虐待、家出、パトロンとの出会い、不倫そして別れ…。
セーラの人生はちょっと説得力を欠いた部分も感じたが、少女アンジェラの幼い肉体とその背景が生々しく、心揺さぶられる。

●『点対点』アモス・ウィー/黄浩然監督(香港)

大陸から香港に赴任して来た普通語教師シャオシュは、ある日、地下鉄の駅で「点つなぎゲーム」のような謎めいた図形をみつける。それは移住先のカナダから仕事で香港に戻ったグラフィックデザイナーのスーチョンが残した落書きだった。シャオシュはその図形に導かれるように香港の街を探索する。やがてそのモチーフは香港の歴史と文化に関連があることがわかる。すぐ近くにいる男女がお互いの存在に気づかないもどかしさを描く。

●『サシミ』パン・チーユエン/藩志遠監督(台湾)

2011年3月11日、HIVキャリアの男優が自殺する。彼と共演した夏美も陽性反応が出て、自暴自棄な生活を送っていた。そんなとき、台湾からポストカードが届く。「良子あなたですか?」その不思議な文面に惹かれ夏美は台湾の日本料理屋を訪ねると…。
『女体盛り妄想映画だった。タクヤほか珍獣もたくさん。李康生は正攻法の演技を披露しているが、こんなに台詞の多い(しかも大半が日本語)役をさせてはならない。(彼の演技のみ蔡明亮が演出したらしいが)でも珍品として面白かった。



【2015年03月13日(金)】
大阪•福島ABCホールで『コードネームは孫中山』、フィリピン映画の『マリキナ』、『軍中楽園』を観てきた。今日は充実してた。これで私の映画祭は終了。

●『マリキナ』ミロ・スグエコ監督(フィリピン)

縫製工場を営むイメルダは、父親が自死したとの知らせを受ける。マリキナで一番の腕をもつ靴職人だった父だったが、母と別れて疎遠になっていた。それでも葬儀で履かせる最高の一足を求め、彼女は街の靴屋を歩き回る。少女時代と現代を交錯させながら、父との関係、イメルダの成長と葛藤を描く。靴職人の時代から、工場生産の時代へ移り変わる際に、父親が抱いた意地と焦燥感を知った彼女は、最後の別れを告げる。


●『コードネームは孫中山』イー・ツーイェン/易智言監督(台湾)

学級費を滞納している阿佐は体育館倉庫でホコリをかぶってる中山孫の銅像を盗み、売りさばいて金を作ろうと計画。仲間3人と実行に移るが、もう一人の困窮清貧学生の小天が絡んで来て…。
軽妙な笑いで社会風刺するところ、底辺争いだけど阿佐と小天が喧嘩しながら心通わせる点、同じ言葉の繰り返しや反復とか、小津の『生まれてはみたけれど』に通じるものがある。イー・ツーイェン(易智言)監督のほぼ10年ぶりの作品は小品ながら、期待を裏切らない作品だった。

●『軍中楽園』ニウ・チェンザー/鈕承澤監督(台湾)

1969年、金門島。大陸からわずか1.8km。国共内戦は沈静下しているが、散発的に砲撃が続く台湾海峡の要衝にやって来た新人シャオバオ。精鋭部隊に配属されるも、泳げないことが明るみになると、別部隊に転属させられる。そこは軍公認の公娼館「軍中楽園」と呼ばれる場所だった。
主人公が精鋭部隊に抜擢されて『愛と青春の旅立ち』みたいな展開かと思って観ていたら、後半『赤線玉ノ井 ぬけられます』っていう塩梅に。主人公のナイーブに違和感を感じてしまったのだが、もっと『兵隊やくざ』でへそ酒を飲むくらいあっけらかんとしても良かった。
後日、DVDで侯孝賢監督の『戀戀風塵』(87)を再見して気づいたのだが、後半主人公が兵役で金門島へ配属され、特約茶屋で何番の娘を買ったかと言う仲間の会話に、彼女一筋の主人公は加わらないというシーンがあった。『軍中楽園』の主人公は、もしかしてこの主人公を踏襲したものだろうか?クレジットに侯孝賢へ献辞があり、『フンクイ』の縁なのかとも思ったけど。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。