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第4回中國独立電影展 [中国]

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2013年11月30日〜12月13日@オーディトリウム渋谷にて。(終了)

今回は東中野から渋谷に会場を移して開催。
個人的に渋谷はアクセスしやすくて便利なのですが、独立電影+ポレポレ東中野の雰囲気も捨てがたい。(ドーナツが食べられなくなった)

今回は7本を鑑賞。どうやら評判の良かったドキュメンタリー『唐爺さん』(徐童監督)を見逃してしまった模様。また機会がありますように。
以下、ツイッターメモのまとめ。

                    *

●『豆満江』(’10) 張律(チャン・リュル)監督

中国側の国境の村に住む少年チャンホの家に、凍った川・豆満江を渡って北朝鮮側から友達ジョンシンが頻繁にやってくる。村人たちは同じ朝鮮族ゆえ助け合う。しかし次第に増えて来る脱北者に治安が悪化。子供たちの間も険悪に。中国政府は脱北者通報に懸賞金を出すことに。
静謐な冬景色、淡々と描かれる村人たちの群像。チャンホの母は韓国に出稼ぎ中で、祖父が面倒をみる。将軍様の映像がTVから流れる中、聾唖の姉スニが犯される。認知症の老女が北朝鮮へ行きたがる姿は『誤発弾』(’61)を連想。少年たちはサッカーで未来を占う。ほぼ傑作。(12月2日)


●『唐詩』('04) 張律(チャン・リュル)監督

孟浩然・李白・王維ほかたくさんの詩が挿入されるのだけど、詩を吟味する前に画面変わるので、少々消化不良。自分の解釈では、スリを生業とする42歳の男が体の衰えや罪の意識に苛まれたり、中年クライシスに落ち入ってる姿を描いてるのだろうと思った。『鬼火』も想起。今回は張律(チャン・リュル)監督特集だったが、『重慶』('08)を見逃す。(12月6日)


●『嫁ぐ死体』('12) 彭韜(ポン・タオ)監督

西安市長安区の火葬場で働く曹は独身で持病を持っており、どうやら死期が近い。地域には「冥婚」という因習が残っていて曹の所に死体の横流しの相談がくる。ある日、一人の少女が行方不明の姉を捜してやってくる。曹は知らないと嘘をつくが、実は遺体安置所に保管されている女だった。
売春婦の肉体と死体の対比。というか並列。火葬場で荼毘に付すだけでも一万元かかるため、少女は姉の遺体を「冥婚」の相手として売る。そして病気の曹を助けようとするが・・・。少女の貧困と曹の孤独感がやるせない。これで二人は報われたのだろうか?男女の道士が儀式で鶏を食いちぎる。(12月12日)


●『卵と石』('12) 黄驥(ホアン・ジー)監督

叔母の家で生活する14歳の少女・紅貴は深刻な問題を抱えていた。監督自身の性的虐待の経験を下敷きにしているせいか、掘り下げ方が凄く、生理的な描写も容赦がない。タイトル通り繊細かつ硬質な作品。阿九の作った判で赤い印。「血盆経」の儀式。堕胎手術の長尺。少女の横顔が印象的。(12月12日)


●『小荷』('12) 劉姝(リウ・シュー)監督

型破りな国語教師の小荷は生徒達に人気があるが、教科書を無視し、入試対策もしないので、保護者や同僚から評判が悪い。ある日、妻子ある男性との不倫がばれ、退職を余儀なくされる。彼女は北京に出ていくが、理想とは違い現実は厳しかった。つみきみほを彷彿とさせる譚卓の魅力満載。
大江健三郎の文章を引用、最後の授業では医学より人々の意識改革が重要だとして作家に転じた魯迅を取り上げる。彼女を慕う男子高校生をもっと絡め、北京籍をもつ会社員(リウ・シアドン)との三角関係にしたら、さらに盛り上がった気が。売春を疑う警官役が滑稽。厳格な父親と麺をすする。(12月12日)


●『マダム』('10) 邱炯炯(チュウ・ジョンジョン)監督

同性愛者に対峙したモノクロのドキュメンタリー。服飾デザイナーの傍ら、夜は女装して哀愁を歌うビランダ。涙でマスカラの黒い筋。また、毒舌で客の笑いもとる。楽屋で話す人生遍歴。(普段は短髪で伊東四朗の若い頃に似ている)広州で男娼をしていた話、梅毒、兌換券詐欺の話。窓外の風景、『紅楼夢』の節回しが大胆に重なってゆく。(12月13日)


●『春夢』(’12) 楊荔鈉(ヤン・リーナー)監督

中国独立映画の新展開を予感させる作品。夫と子供に囲まれ幸せそうな主婦・方蕾。ある日、夢の中で見知らぬ男と性交してから、心身が不安定に。道士に護符をもらったり、仏教に救いを求めるが・・・。一見怪異譚のようだが、女性の抑圧された性欲を赤裸々かつ大胆に描き切っていて、粘り強い探求心に驚かされた。ラストの青年僧に対する視線が凄い。邱炯炯監督『マダム』も含め、中国でのジェンダーのありようが伺える作品。(12月13日)



現代中国独立電影

現代中国独立電影

  • 作者: 中山 大樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)






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