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2008年度映画ベストテン [映画ベストテン]

「旅シネ」に寄稿した2008年度映画ベストテンです。






1 シークレット・サンシャイン(密陽)(イ・チャンドン監督/韓国)
 不確実な世の中で、人間はどう生きるべきか。深い洞察がある作品。ソン・ガンホの抑えた演技がすばらしい。
2 この自由な世界で(ケン・ローチ監督/イギリス)
 稼ぐためなら何をしてもいいのか。人間としての倫理観を問い、グローバリズム、新自由主義を痛烈に批判した作品。作者の強い憤りが伝わってくる。

3 ポケットの花(リュウ・センタック監督/マレーシア)
 マレーシアではマイノリティの、中華系のシングルファザーと二人の子供の周辺を独特のユーモアで描く。東京国際映画祭にて。

4 ぐるりのこと。(橋口亮輔監督/日本)
 困難を乗り越えて行く夫婦の十年を日本社会の十年に重ねて感動的に描く。リリー・フランキー演ずる法定画家という設定がいい。

5 些細なこと(パン・ホーチョン監督/香港・中国)
 些細なことにこだわりをみせる様々な境遇の人々を扱うオムニバス。下ネタ多いけど、笑いもドラマもきちんとこなせる香港映画の正統派。東京国際映画祭にて。

6 後悔なんてしない(イソン・ヒイル監督/韓国)
 ゲイの監督によるダグラス・サーク的な愛憎劇と猥雑さに満ちた逸品。格差社会、屈強な儒教社会といった韓国の現状もきちんと描かれている

7 馬烏甲(マー・ウージャ)(趙嘩ジャオ・イエ監督/中国)
 「中国インディペンデント映画祭」は好企画だった。(一般公開のな中国映画は3回の検閲が入るそうだ。)応亮監督の『家鴨を背負った少年』を挙げたいところだが、既に評価のある作品なのでこちらを挙げる。多感な少年が弟ばかりを溺愛する母親を殺めるまでを独特な感性で描く。

8 4ヶ月、3週間、2日(クリスティアン・ムンジウ監督/ルーマニア)
 研ぎ澄まされた作風に感心する。チャウシェスク独裁政権の闇の中で抗う女たちの勇姿。無いはずの子宮が疼く。

9 イン・トゥ・ザ・ワイルド(ショーン・ペン監督/アメリカ)
 旅とは?人生とは?バックパッカーは必見だ。

10 ラスト、コーション(アン・リー監督/アメリカ=台湾)
 随分脚色しているのだろうと思って張愛玲の原作を読んだら、かなり忠実に作られていることがわかった。トニー・レオンは適役かどうか疑問だか、ラストは彼にしか表現できないような気もする。クールな演出が光る。

次点、入れ替え可能作品
ムアラフ―改心(ヤスミン・アフマド監督/マレーシア)
姉貴(フー・シンユィ監督/中国)
キング・ナレスワン(1部、2部)(チャートリーチャルーム・ユーコン監督/タイ)
ブレス(キム・ギドク監督/韓国)
エグザイル/絆(ジョニー・トー監督/香港・中国)
ビバ!監督人生(ニウ・チェンザー監督/台湾)
スウェディッシュ・ラブ・ストーリー(ロイ・アンダーソン監督/スウェーデン)


2008年も旧作とアジア映画に明け暮れた一年となった。
「ファスビンダー」「ダグラス・サーク」の特集上映、「タイ・シネマパラダイス」「台湾シネマコレクション」、「山形ドキュメンタリー映画祭・ドリームショー」の中の「オキナワ、イメージの縁 映画編」「中国・記録映画の20年」という特集企画も興味深かった。
上位3作品以外の順位は気分的なもの。次点も甲乙付けがたく、どれをランクインさせようかすごく迷った。みっともないと思いつつ長々と列挙させてもらいました。

2009年度映画ベストテン
2007年度映画ベストテン


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