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2007年度映画ベストテン [映画ベストテン]

「旅シネ「に寄稿した2007年映画ベストテンです。









1 黒い眼のオペラ(ツァイ・ミンリャン蔡明亮監督/台湾=マレーシア
 台湾からクアラルンプールに舞台を移して、ますます面白いツァイ・ミンリャン的オペラ世界。

2 呉清源―極みの棋譜(ティエン・チュアンチュアン田壮壮監督/中国)
 呉清源という天才の半生を辿る伝記映画ではあるが、囲碁を通して、中国人が日本人化していくという側面もあり興味深い。風景描写、日本家屋の佇まい、凛とした空気が囲碁の精神世界を表している。その世界観は田監督の創作姿勢と見事にマッチしている。

3 鉄西区+鳳凰―中国の記憶(ワン・ビン王兵監督/中国)
 山形国際ドキュメンタリー映画祭で大賞に輝いた2作品。9時間超に及ぶ『鉄西区』は強烈な映画体験だった。

4 長江哀歌(ジャ・ジャンクー賈樟柯監督/中国)
 中国の現在、時代のうねりを詩的に描いた説明不要の傑作。

5 バベル(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督/アメリカ=メキシコ)
 米国の強い影響下にある二つの国、メキシコと日本を同一線上に描いたのは斬新。モロッコの乾いた大地からその対局にある高度消費社会。何かを突きつけられた気がする。

6 チダンバラムの愛(G.アラヴィンダン監督/インド)
 10年ぶりにインドに行ったので、日印交流年『インド映画の輝き』はタイムリーな好企画だった。その中でもアラヴィンダン監督の作品は傑出していた。ゴーパーラクリシュナン監督とともにケララ映画レトロスペクティブの企画をどこかでお願いしたい。

7 タイペイ・ストーリー+指望(光陰的故事)(エドワード・ヤン監督/台湾)
 エドワード・ヤン監督の逝去も去年の大きなニュースだった。初期作品は粗も目立つものだが、この作品はそういった部分もなく、その才能に改めて感心する。東京映画祭追悼上映にて。

8 孔雀―我が家の風景(クー・チャンウェイ顧長衛監督/中国)
 第五世代の傑作群をカメラに納めてきた撮影監督が自らメガフォンをとった瑞々しい映画。ブロックバスター映画ばかりとっている最近の第五世代の監督たちに、この際別れを告げてしまおう。

9 霧(ホー・ユーハン監督/マレーシア)
 『Rain dogs』の新鋭監督の本邦初公開作。ジグソーパズルのようなバラバラの断片で、ある家族の全体像を見せるという実験的な作品。『ヤスミン・アハマドとマレーシア映画新潮』にて。

10 ボルベール―帰郷(ペドロ・アルモドバル監督/スペイン)
 スペインの若尾文子(?)ベネロペ・クルスの可憐さ、そして色彩に釘付け。

 次点、入れ替え可能作品
迷子の警察音楽隊(エラン・コリリン監督/イスラエル)
高麗葬(キム・ギヨン監督/韓国)
パラダイス・ナウ(ハニ・アブ・アサド監督/パレスチナ)
キムチを売る女(チャン・リュル監督/中国=韓国)
不機嫌な男たち(ミン・ビョンボク監督/韓国)
14歳 (広末哲万監督/日本)


ここ数年では最も多くの映画を観た年なのだが、大半が旧作類で、新作の邦画をあまり観ていないのが不徳の致す所。上位5作品はどれが1位でも構わないくらい肉薄しているし、10位以下の次点も入れ替え可能なので、順位はほとんど気分的なもの。東京フィルメックスで観たイ・チャンドン監督の『シークレット・サンシャイン』も出色だったのだが、今年公開が決まってるので、今回は見送り。


2008年度映画ベストテン
2006年度映画ベストテン


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