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アジア・フィルム・フェスティバル [アジア総合]


『Don't Look back』 directed by Kim Yon-nam (Korea=Japan 2005)


 『ニャム』(1995年/ベトナム)、『ペパーミント・キャンディ』(1999年/韓国)、『美麗時光』(2001年/台湾)……と数々の傑作を輩出してきたNHKとアジアの新進作家たちによるコラボレーション。
その作品を一同に集めた2年に一度のお祭り、『NHKアジア・フィルム・フェスティバル』が今年6回目を迎え開催中。(12月17日〜25日)個性的な新作3本を加えた25作品が上映される。

official site:
http://www.nhk.or.jp/sun_asia/


新作は以下の3作品。

●『ドント・ルック・バック』(2005年/韓国=NHK)
 
監督:キム・ヨンナム
出演:キム・テウ、キム・ヘナ、イ・サンウ

(パート1)タンゴを踊るのが好きな女子大生ジュンヒは恋愛もうまく行かずヒステリックな日々を送っている。そこへ何年も会っていなかった父親が現れる。
(パート2)公衆電話を修理するケンウは仕事中の盗聴が趣味。その盗聴を通してある女性に片想いする。だが、その想いをうまく伝えることができない。一方、所属する電話会社がリストラ策を打ち出す。
(パート3)大学院生ながら兵役についたイノ。除隊前の最後の休暇のため帰宅すると、妻が浮気をしている気配を感じる……。不器用な3人の人生が、偶然にもつながってしまった「まちがい電話」のようにリンクする。

 韓国の社会背景をふまえつつ、不安定な状況に追い込まれた人間たちのリアルな感情を克明に描いている。それぞれの関係性が瓦解し、新たなつながりを産み出す人間関係の不可思議さも感じさせられる。監督はホン・サンスの『女は男の未来である』の助監督をした経験がある。

●『4:30』(2005年/シンガポール=NHK)
 
監督:ロイストン・タン
出演:シャオ・リユアン、キム・ヨンジュン

 シンガポールの集合住宅アパートに住む中国系の少年レン。そして彼の面倒をみるためにシンガポールに滞在している韓国人の男、ジュン。どうやら彼には悩みごとがあって自殺願望がある。少年レンは深夜4時30分にジュンの部屋に忍び込んで、彼の周りにあるもの、彼の存在を証明するものを盗み、日記に貼り付けている。年齢も異なり、言葉も交わす様子もない二人は同じ時間と孤独を共有していた……。

 独特の空気感が画面に漂う。レン少年がジュンに抱く、憧憬、親しみ、同情、共感。友人でもなく、兄でもなく、父親でもない。自分の分身のような存在。時にそれは恋にも似た同性愛的な雰囲気さえ醸し出す。現代社会の闇を描いた問題作。

●『癒された地』(2005年/ベトナム=NHK)
 
監督:ブイ・タク・チュエン
出演:トラン・エゥ・プ、ノー・ファン・トゥイー、マイ・ノ・ブォン

 ベトナム戦争終結後、共産軍の捕虜になっていたタイは解放され、新しい土地に妻と子と一緒に移り住む。しかし、家の周りは撤去されていない地雷や不発弾の散乱する土地だった。不安を抱えながら生活する一家だったが、実はタイには先に結婚したもう一人の妻とその子供達が別の場所にいた。二人の妻と子供達を養うために、タイは鉄くずを集め、それを売る。だが、それだけでは足りず、ついに立ち入りを禁止している地雷原の中に入って地雷を撤去しはじめるのだった。

 実話に基づいて作られた映画。地雷探知機さえ使わずに、地雷をひとつひとつ手作業で撤去していく姿に息を飲む。全ての責任を背負いながら地雷原を畑に変えていく主人公の姿が力強く感動的だ。ただ少しプロパガンダめいたものも感じなくはない。


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